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「なるようになる」 ベイスターズを去る筒香嘉智に伝えたいケ・セラ・セラ

10/14(月) 11:15配信

文春オンライン

『ケ・セラ・セラ』という歌の中で、小さな女の子はお母さんにたずねる。「私は大きくなったら美人になれる?」「お金持ちになれる?」。そしてお母さんはこう答える。「ケ・セラ・セラ(気にしてもしょうがない)」「なるようになる」「明日のことはわからない」。

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 どうしてお母さんは「美人になれるよ」「お金持ちになれる」って、答えてあげないんだろう。先のことなどわからないけど、わからないからこそ、なれるよって言ってあげればいいのに。ずっとそう思っていた。

 なぜだろう。他の選手は、「梶谷」だったり「カジ」だったり、「タッケ」だったり「雄洋」だったりその時その時で私の中の呼び名は変わるのに、筒香だけは「つっつ」でも「ゴウ」でもなく、いつも「筒香」。筒香の響きだけで強くなれる、元気になれる、勇気が出てくる。本当に不思議な名前だ。

 初めて買ったユニフォームも筒香だった。それまでユニフォームはなんかこそばゆくて、いつも帽子しか被らなかった。普通の服にベイスターズの帽子を被ってハマスタに行く。絶対に家から被っていく。コンビニの店員さんに二度見される。近所のエキセントリックおじさんは、大体野球帽を被っている。私は近所のエキセントリックおばさんという十字架を背負うことで、ベイスターズの勝利を神様にお願いした。神様には気づいてもらえなかった。

 初めて「TSUTSUGOH」と書かれたユニフォームに袖を通した時の気持ちが忘れられない。なんて誇らしいんだろう。近所の皆さん、この筒香という選手は、世界中のかわいいを集めてもまだ足りないくらいかわいいのに、すごいホームランも打つんですよ。私はもう近所のエキセントリックおばさんじゃない、近所のTSUTSUGOHおばさんだ。「ふんふんふふーんふふーん(さあ打て筒香~)」と鼻歌交じりに駅までの道を歩く。なんて誇らしいんだろう。筒香がいる惑星に生まれてよかった。

 私が笹川良一なら全国の小学校に筒香の銅像を寄贈するのにと思った。筒香が1億円プレイヤーになった時は、なぜか私が調子に乗ってタクシーとか乗った。筒香がドミニカ修行に行けば、途切れ途切れで画像ゲキ悪のストリーミングで、どんな遠くにいる筒香でも見つけ出せる特殊能力を身につけた。筒香がケガをすれば、ケガした箇所を神に捧げた。受け取ってもらえなかった。あんなすごい筒香のホームランを見られない筒香はかわいそうだと思った。ホエールズもベイスターズもずっと好きだったけど、こんなに心を鷲掴みにされ、夢中で応援して、思わず何か書きたくなってしまう、そんな選手は筒香が初めてだった。

 筒香は私と野球の、私とベイスターズの距離感を変えてしまった。

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最終更新:10/14(月) 11:51
文春オンライン

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