ここから本文です

病気の子どもを励ます“ファシリティドッグ”、2歳で亡くなったゆづ君と結んだ強い絆

10/14(月) 8:00配信

週刊女性PRIME

 神奈川県横浜市南区にある神奈川県立こども医療センター。ここは、小児病棟、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設の3つの施設からなる医療機関である。

【写真】ベイリーにぴったりと寄り添うゆづ君

 ある平日の午後、病院の廊下を大きな薄茶のゴールデンレトリバーと青いポロシャツ姿の女性が歩いていた。

 病院に犬? 盲導犬ではない。

 犬の名前はアニー。3歳になるこのメス犬は、ファシリティドッグと呼ばれる使役犬である。そしてリードを握った女性は、アニーと行動をともにする“ハンドラー”と呼ばれる「犬をコントロールする人」である。

 “ファシリティ”には、施設という意味があり、1つの施設に職員の一員として勤務する犬のことを、ファシリティドッグと呼んでいる。いったいアニーは、この病院でどんな役目をしているのか。

 ハンドラーの森田優子さんに聞いた。

“頑張ろうとする力”を引き出せるように

「子どもたちとの触れ合いはもちろん、採血や点滴、検査や処置をするときや、手術室までの付き添い、リハビリの応援など多岐にわたっています。この病院には、半年や1年以上と長い入院生活をしている子どもたちもいます。子どもたちがつらい治療に対して“自分から頑張ろうとする力”を引き出せるよう、お手伝いをしています」

 病室にアニーが入って行くと、付き添いの親御さんがベッドの子どもに声をかける。

「ほら、アニーが来てくれたよ」

 子どもたちは顔を輝かせ、ベッドにアニーを迎え入れ、頭をなで始めた。

「アニー、いい子だった? 私は今日ちゃんと採血できたよ。午後もリハビリ頑張るよ」

 アニーと森田さんは、認定特定非営利活動法人『シャイン・オン!キッズ』から派遣されている。この法人は、2010年に小児がんの子どもたちとその家族の支援を目的として、日本初となるファシリティドッグを静岡県立こども病院に導入。犬は、ベイリーという名のレトリバーで、日本初のハンドラーは森田さんだった。

「ベイリーは引退して、もうすぐ12歳。2歳のときからファシリティドッグとして9年間、活躍しました。

'12年に神奈川の導入が決まったことで、私とベイリーがこちらに来て、静岡には新しい犬とハンドラーが行っています。だからアニーは2代目なんですね」

 ファシリティドッグはどのようにして誕生したのか。

 公のデータはないものの、欧米で2000年ごろより台頭し始め、盲導犬以外の補助犬育成で世界最大の団体『ケーナイン・コンパニオンズ・フォー・インデペンデンス』では2015年に全育成数309チームの14%にあたる43チームが、ファシリティドッグとして育成されている。チームと呼ばれるのは、ハンドラーなくしては、ファシリティドッグのパフォーマンスを活かすことはできないからだ。森田さんが言う。

「犬種は、ゴールデンかラブラドールのレトリバーにほぼ決まっています。さらにその中から『人が好き』『人と一緒に仕事をすることが大好き』『性格が穏やかで優しい』という犬を選びます。まず素質のある犬を選ぶというのが重要なんです。生まれ持った気質というのは変わらないものですから。だから、アニーたちは、50代くらい前まで遡れるくらいいい血統を持った使役犬の家系からきてるんです」

1/3ページ

最終更新:10/14(月) 8:00
週刊女性PRIME

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事