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水本勝己さんに学んだ「継続は力なり」/新井貴浩コラム

10/15(火) 11:00配信

週刊ベースボールONLINE

 今回もカープでお世話になった指導者の方を紹介しようと思います。

 現二軍監督の水本勝己さんです。現役時代、一軍での実績はありませんが、素晴らしい情熱を持った方です。

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 私の若手時代、水本さんはすでに引退され、ブルペンキャッチャーをしていましたが、何かと気にしていただき、ことあるごとにアドバイスをもらいました。

 05年の春季キャンプで食事をしているときでした。水本さんに、「お前、今年1年間でシーズンを通して、やること決めろ。なんでもいい。継続してやる、ということが大事だから、絶対にやることを決めて俺に言ってこい」

 と言われました。03、04年と2年続けてまったく結果を出せず、どん底にいた時期でした。私自身、何かをしなければ、このまま終わってしまうと思っていましたが、何をすればいいのか分からず、焦っていた時期です。見かねて手を差し伸べてくれたんだと思います。

 そこで「では、ホーム球場で必ず特打をしますから、水本さん、手伝ってくださいますか」とお願いし、そこから1年間ずっと休まず、水本さんと特打を続けました。

 東京からの移動ゲームでも早めに帰ってきて、当時、広島市民球場のレフト側のブルペンでバッティングができるようになっていたので、水本さんに投げてもらって打っていました。台風で試合が中止になったときもやっていました。

 水本さんは「続けなきゃダメだ、どんなことがあっても、それが精神的にも拠り所になるから」と言っていました。向こうも大変だったと思います。ブルペン捕手の仕事もありますし、毎日球場にかなり早く来なきゃいけない。それでも梅雨のときも暑いときも寒いときも、ずっと相手をしてくれました。

 打つだけじゃありません。前日の試合の課題を話したり、練習方法も、いろいろ工夫しました。体と上腕部にチューブをぐるぐるに巻いてバットが体から離れないようにスイングしてみたり、二人三脚で、一生懸命やり、少しずつですが、技術も磨かれていきました。

 不思議なもので、最初はきつくても、やっているうちにやらないと気がすまなくなってきた。ちょっとずつ、ちょっとずつ習慣になってきて、水本さんの言ったとおり、「俺は、これだけのことを毎日やっているんだから」というのが、自信というか、拠り所になりました。

 まさに継続は力なり、です。

 水本さんも分かっていたと思いますが、実は、私は、もともと継続するのが苦手なタイプでした。あきやすいというわけではなく、これをやってみようと思って取り組んでも、少しダメだと、すぐ違うことやろうになってしまっていました。

 それが、水本さんとの打撃練習を継続することで、何かを成し遂げようとするなら、ある程度の期間、突き詰めてやらなくてはいけない、ということが分かりました。

 こうやって当時のことを振り返っていくと、いろいろな人が支えてくれて、手伝ってくれての野球人生とあらためて思います。“球の心”がしっかりと見てくれていたのであれば、本当にうれしいです。

PROFILE
新井貴浩/あらい・たかひろ●1977年1月30日生まれ。広島県出身。広島工高から駒大を経て99年ドラフト6位で広島入団。4年目の02年に全140試合に出場し、05年は43本塁打で本塁打王のタイトルを獲得。07年オフ、FA権を行使して阪神に移籍した。11年には打点王になるなど活躍するも、14年は出場機会が減少し、オフに自ら申し出る形で自由契約に。15年に8年ぶりに古巣・広島に復帰。16年には四番打者として25年ぶりのリーグ優勝をけん引し、リーグMVPに輝く。17年途中からは代打が多くなったが勝負強さは健在で、球団史上初のリーグ3連覇に貢献した。18年限りで現役を引退。通算成績は2383試合、2203安打、319本塁打、43盗塁、打率.278。

週刊ベースボール

最終更新:10/15(火) 11:00
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