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転職希望者へどう答える?ブラック企業かどうかの判断の難しさ

10/15(火) 7:32配信

日本の人事部

「ブラック企業」という言葉は、インターネットの就職・転職関係の掲示板などから広まっていったが、今では一般紙の記事で目にすることも珍しくない。それだけ、社会的にも関心が高まっているのだろう。ブラック企業は勤務環境が過酷で、離職率が高いなど、いわゆる「人材の使い捨て」というイメージが強い。就職や転職の際には「ブラック企業は絶対に避けたい」と考える人がほとんどではないだろうか。しかし、ある企業がブラックかどうかを見極めるのはそう簡単ではない。人材紹介会社にとっても、実に悩ましい問題なのである。

この会社、ひょっとしてブラック企業?

「ご希望の条件に合いそうな企業をリストアップしました。どうぞ求人票をご覧ください」

人材紹介会社での転職相談の後半には、具体的な求人情報を見てもらいながら、転職希望者のより細かい要望を確認する。実際の企業名や仕事内容を見ると、転職希望者から思いがけない本音が飛び出すこともある。転職はきれいごとだけではうまくいかないことも多い。むしろ本音こそ大事なのだ。

「X社はどういう会社なのでしょうか」

熱心に求人票を見ていた相談者のNさんが、ふと目を上げた。すぐにピンときてフォローする。

「ご覧になっているのは、可能性のある求人を広めの条件設定でピックアップしたものです。ここからさらに絞り込んでご紹介したいと思っていますので、X社が気になるようでしたら、はずしてお考えください」

それを聞いてNさんは、ほっとしたように「じゃあ、今回はやめておきます」と言って、X社の求人票を脇によけた。実は、このX社は一部で「ブラック企業」ではないかと言われている会社だったのだ。

といっても、X社は決して得体のしれない会社ではない。株式上場も果たしている成長企業であり、経済紙などでもよく取り上げられている。中途採用にも熱心で、つい先日も人材紹介会社の担当者を集めての説明会を開催したばかりだ。

「挑戦的、意欲的な人材であれば、ビジネス経験の少ない若い人材にもどんどんチャンスを与えていくのが当社のスタイルです。ぜひ積極的にご紹介ください」

人事担当役員が説明会で自らプレゼンするほどの力の入れようだった。しかし、成長企業にはありがちだが、事業展開のスピードが速く、それについていけずに離職する人材が多いという評判が立っている企業でもある。ブラック企業という噂はそのあたりが原因なのだろう。

説明会では、中途採用で入社したという若手社員が、「入社1年目で支店を任されました。工夫して努力すれば、その分きちんと評価してくれる会社です」と仕事のやりがいを強調する体験談を語っていた。その表情はいきいきとしている。実際活躍している人材もたくさんいるのだろうという印象を受けた。「ブラック企業」と言われている会社でも、やりがいを感じて活躍している社員はいるのである。

しかし、結局私は、NさんにX社を強く薦めることはできなかった。

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最終更新:10/15(火) 7:32
日本の人事部

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