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ライムスターの宇多丸が選ぶ──マフィアやギャング映画のスーツ

10/15(火) 8:10配信

GQ JAPAN

時代を超えて語りつがれる映画の名優に華をそえるスーツ。なかでもマフィアやギャング映画、すなわちフィルム・ノワールの世界のスーツは最高にクールだ。男が痺れる名優たちを、映画評に定評のあるラッパーの宇多丸が選んだ。

【フィルムノワールのスーツをチェック!】

映画における男性用スーツの着こなしと言えば、何はともあれフレッド・アステアやケイリー・グラントといった、往年のスターたちによる理想形がすでに揺るがし難い輝きとして存在しているわけですが、彼らはさすがに、現代の我々からするとあまりに成熟したダンディで参考になる気がしないので(笑)、ここではあえて、1980年代以降に絞って考えてみました。

80年代アメリカ映画を象徴するスーツスタイルと言えば、やはりジョルジオ・アルマーニでしょう。『アメリカン・ジゴロ』(1980)の衣装提供で一気に知名度を上げた彼は、以降に関わった作品としては『アンタッチャブル』(1987)あたりが知られていますが、個人的に鮮烈だったのは、『48時間』(1982)でエディ・マーフィが颯爽と着こなす、グレンチェックのダブルスーツ! 比較的細身のシルエットにやはり細めのタイ、さらにはカラーピンで首元もタイトにまとめて、隙がない粋さ。対するニック・ノルティの野暮天ルックとの落差も鮮やかでした。


80s的なスーツの着こなしという意味では、森田芳光監督が夏目漱石の小説を映画化し、松田優作が主演した『それから』(1985)も、時代設定こそ当然明治ながら、実は80年代半ばの東京モード感が濃厚に刻印されてもいる作品として、忘れ難い。スタイリストの北村道子(前頁の企画を担当)が素材から贅を凝らしたという全体的にダボッとしたシルエットが印象的な男性たちの装いは、一種着物の延長線上にあるもののようにも見えて、言ってみれば「日本人ならではの」ファッションとしてしっかり成立している塩梅。再びビッグシルエットが流行となった今の目で見ると、さらに新鮮味が増すかもしれません。

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最終更新:10/15(火) 8:10
GQ JAPAN

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