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取引先との打ち合わせに「共通の話題」を用意して臨むことがなぜ大事なのか

10/16(水) 17:10配信

クーリエ・ジャポン

親しくなりたい人がいる場合、私たちは自然と「共通の話題」を探そうとしていないだろうか。『望み通りの返事を引き出すドイツ式交渉術』の著者でミュンヘン・ビジネススクール教授のジャック・ナシャーによれば、交渉においても同じ姿勢で臨めば成果が出やすいという。

互いの共通点を指摘する

はじめてデートをする相手とレストランに出かけたとき、あなたは相手に向かってこんなことを言うだろうか?

「魚が嫌いなの? そりゃ面白いな。僕は魚が大好きなんだよ!」

わざわざそんなことを口にする人はまずいないだろう。人生に面白味を添えるのは多様性だが、相手との差異を感じると、最初のうちは拒絶反応を起こすものだ。

相手に好感を持つきっかけとなるのは共通点だ。「類似性の法則」と呼ばれていて、すでに学術研究で立証済みの心理現象である。交渉力の高い人は、平凡な交渉力しか持たない人のほぼ4倍も、交渉時に相手との共通点を指摘することがわかっている。

交渉をするときには、出身地、出身校、誕生日、共通の友人など、相手との共通点を見つけてそれを強調するようにしよう。共通点は、特に個人的なことがらである必要はない。意見が一致しそうな無難な話題を見つけるのはそう難しくないはずだし、それだけでも十分効果を発揮する。

アメリカのある上院議員は自分のスタッフ全員に、たとえ自分が正しいと思っても、有権者とは絶対に言い争いをしないようにと申し渡しているという。99%意見が一致している場合は、意見の異なる1%について議論してしまうが、たとえ99%意見が違っても、1%でも意見が一致している部分があればその点に焦点を絞って話をするように、と指示しているそうだ。

互いの共通点を認識できる、そうした感じのいいちょっとした会話は「調和を生み出すための軽いスピーチ」と呼ばれており、交渉の前哨戦にも用いられている。

もっともよく耳にするのは「私たちは運命共同体ですからね」や、「これから長期にわたって取引できるよう、お互い納得のいく合意をめざしましょうね」というフレーズだ。

あなたが口にした内容に相手が疑念を持っている様子がうかがえた場合は、あなたは手っ取り早い利益だけを求めているのでなく、個人的によい関係を築きたいと思っているのだということを相手に示そう。一見したところではわからなくても、双方に共通する目標は必ずあるはずだ。

たとえば、チェスの場合はどうだろう? 相手に勝つことしか目的はなさそうに思えるが、双方に共通する目標はどこにあるのだろう? 突然入り込んできた犬に、こまをすべてめちゃくちゃにされるとよくわかる。双方とも、落ち着いた環境でチェスを楽しみたいというのはきっと共通しているはずだ。

イタリアのファッションデザイナー、フランコ・モスキーノは生前、「この世界に宇宙人がやって来たら、黒人だって我々の仲間だ」と言ったことがある。彼独特の挑発的な言い回しだが、実際、共通の敵を持つことには、共通の目標を持つのと同じくらい人を結びつける力がある。

「敵」は特定の人間である必要はない。何かのグループ(たとえば「経営陣」)でも、ただの思想(たとえば「社会主義」)だってかまわない。双方が共通して敵と見なすものがあれば、集団としてのアイデンティティを確立できる。「私たちは正義で向こうは悪」という構図が出来上がるからだ。

同じ手法は、あなたもきっと日常的に使っているはずだ。1週間も雨が続いたり、どんどん駐車場の混み方がひどくなったり、社内の事務手続きの煩わしいことについて、あなたは誰かと文句を言い合っていないだろうか。

この種の話をすれば話し相手との距離が近づくと、あなたは本能的にわかっているのだ。交渉のときは意識してこの手法を使うようにしよう!

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最終更新:10/17(木) 11:49
クーリエ・ジャポン

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