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平成ファッションメディアの変遷(後編)

10/16(水) 5:00配信

商業界オンライン

読者モデルはなぜ集団で登場するか

「読モ」はメディアの研究者にとっても興味深い対象だった。女性ファッション誌の学術研究からは、「人物を設定し学生やOLの生活になぞらえた着こなし企画(通勤着、買物、旅行)が主流であること」「読モはグループでの誌面登場が多いこと」が指摘されている。

 前者については、読モの方が圧倒的にリアリティのある誌面を構成できることは十分予想できる。仮に「日本女子大のファッション」「三井物産OLのコーディネート」など具体性を帯びた誌面企画だと、有名な専業モデルでは逆に説得力に欠ける。後者については、読者の選択肢を増やすメリットがある。読者の体型が多様であり、選択肢が多ければ当然自分に近い体型の読モを探す出せる確率も上がる。

「読モ」が雑誌に登場し始めた時期は、明確ではない。図表(1)では、初出はカリスマ販売員よりも古い。「カリスマ販売員」「インスタグラマー」がある時期、突然登場したのは大きく異なる。「読モ」と呼ばないが、ファッション感度の高い通行人を撮影した「街角スナップ」も意味的には読モに近いと解釈できる。

 読モは、ファッション購入に必要な3種の情報のうち、C:マッチングについては、販売員ほど有益な情報をもたらさない。自分と似た体型の読モから類推するといっても、従来の「雑誌を見て買う行為」の範疇を出ない。

 この頃から、接客で得られるさまざまな情報やリアル店舗での購入自体に、従来ほど価値が認められなくなったように思う。例えば、ECのファッションモール「ZOZOTOWN」がオープンしたのは2004年である。04年3月期に12億円4000万円だった売上高は、早くも10年3月期は171億6000万円と10倍以上に伸びた(ちなみに19年3月期は3231億2900万円)。接客が不要なら、便利なネット通販に移行するのは必然である。

インスタグラマーは情報の受け手兼送り手

 周知のように、SNSによって情報を発信し、消費などさまざまな面で影響を及ぼす人をインフルエンサーと呼ぶ。複数のSNSが運営されているが、ファッションのメディアとしては、写真を中心に情報発信できる「インスタグラム」が最も多用されている。「インスタグラム」の年齢別ユーザー推移を見れば、ファッションに関心の高い若年層の伸びが著しく、これは図表(1)の「インスタグラマー」の伸びと近い動きを見せる。

「インフルエンサー」のうち「インスタグラム」を活用する層を「インスタグラマー」と呼ぶ。カリスマ販売員、読モと決定的に異なるのは、自らコンテンツとなり情報発信できる点にある。カリスマ販売員、読モともにメディアであるが、雑誌などマスメディアなしでは、情報発信、拡散できなかった。情報自体も、作り手(メーカー)や売り手(店舗)など企業の意思である。これに対してインスタグラマーは、個人のあるがままの体(服装、メイク、髪型)を、個人の判断のみによって発信できる(後述のように企業従業者の販促業務としての発信もある)。

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最終更新:10/16(水) 5:00
商業界オンライン

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