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利益を超えなければ「パーパス」(存在意義)ではない

10/16(水) 18:51配信

オルタナ

日本企業の間でもこの1-2年、「パーパス」という言葉が普及してきました。受験英語では「目的」と訳しますが、「存在意義」の方がしっくり来ます。ただ、企業や組織がこの言葉を使う上で、最も大切なことが置き去りにされているように感じるのです。(オルタナ編集長・森 摂)

「パーパスが企業ブランド刷新の切り札となる理由」
「PURPOSE(パーパス)が、企業の競争力を高める」
「経営の北極星としての“Purpose” パーパス・マネジメント」
「ビジョン、ミッションからパーパスへ」

最近、日本でもこのような記事が増えてきました。「パーパス」はかつての「ブランディング」ブームのように広がっているようです。もちろん企業の「社会的目的」は大事であり、それは社員や顧客の間に増える「ミレニアル世代」への大きな訴求にもなります。

そんな中、IIRC(国際統合報告委員会)が2018年、「purpose beyond profit」というレポートを出しました。割と平易に書かれている英語です。内容を少し紹介しましょう。

パーパスを表面的に取り入れることは危険

――企業の経営幹部は、ステークホルダーとの関係を構築し、統合思考と戦略的な意思決定を進めるために、組織の価値創造の可能性を理解し、社会に発信する必要性を理解しています。しかし、このレポートでは、経営幹部がこうしたビジネスの推進要因を理解し、解釈するためのマネジメントと情報発信力にまだ欠けていることを示しています。
(中略)
――79%の経営幹部が、経営戦略における長期の見通しが価値創造にプラスになると同意しています。(中略)ただ、調査の対象企業の1社は「当社の現状はまだサステナブルではなく、当社の絶対的な推進力は利益ではないことをよく理解して、将来像を描かなければならない」と答えました。

IIRCは、日本を含む世界の上場企業の統合レポーティングに大きな影響を与える組織です。そのIIRCが「purpose beyond profit」と題したレポートを出したことは衝撃的です。

いまや「パーパス」は、単体で使うのではなく、「purpose beyond profit」(利益を超えたパーパス)とセットで使わないと、その意味が薄れるばかりか、捻じ曲げられる恐れがあると感じます。

ここで再確認したいのは「利益は企業の目的ではない」ことです。これまで日本企業の多くは、増収増益を必達目標としてきました。その経営方針を変えないで、表面的にパーパスという言葉や概念を取り入れることは危険です。「利益を超えた」という形容句を抜きに「パーパス」という言葉を使ってはいけません。

実は、パーパスについては「利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか」(紺野登+目的工学研究所著、ダイヤモンド社)でかなり的確に書かれています。

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最終更新:10/16(水) 18:51
オルタナ

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