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山本達彦の魅力とは何か? 人気絶頂だった1980年代の秘話も!(中編)

10/16(水) 20:42配信

GQ JAPAN

シンガーソングライターの山本達彦は、2018年、デビュー40周年を迎えた。今なおファンが多い彼の魅力とはなにか? 山本達彦の作品を多く手がけてきた作詞家・吉元由美がさまざまなエピソードともに考える。

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山本達彦との出会い

1986年、山本達彦さんと初めて会ったのがどこだったか、残念ながら記憶していない。おそらく、当時、西麻布にあった事務所「KAY MUSIC」でのアルバムの打ち合わせのときではなかったかと思う。デビューして2年目、作詞家としてまだ駆け出しの頃だった。

26歳の女性作詞家が32歳の男性アーティストの歌詞を書く。26歳という年齢がどれほどのものか。シンガーソングライターが、自分で歌いたい歌を作るのとは違う。

ノンフィクションにいかにリアルさを感じさせるか……。知らない世界は、緻密に想像力を駆使し、かつロジカルに表現する。その頃の達彦さんの歌詞の主人公たちの多くは、クールでセンチメンタル、しかもハードボイルド。女性たちに翻弄されるゴージャスな男たちだった。

もちろん、曲調によって設定はさまざまだったが、堂々とラブソングの王道を行けた時代でもあった。それは、大人たちがちゃんと恋愛しようとした時代だったと思う。だから、歌は、短編映画のような物語になった。

とくに達彦さんの歌の世界は、物語そのもの。ひとりの男の独白であっても、その言葉の向こうには『景色』が見えた。達彦さんの歌詞を書き始めた駆け出しの頃、せつなさとは何なのか? 孤独とは何なのか? 小さな仕事場で必死に考えていたのを思い出す。

達彦さんの歌詞を書くようになった頃、私には少し誤解があったように思う。華やかな女性たちに囲まれ、ときにはゲームのように恋をし、人生を楽しんでいる大人たち。達彦さんにはそんな世界が似合うのではないか? と、思った。時代は世の中全体が浮き足立っているようなバブル期だったので、そんなイメージに結びついたのかもしれない。多くのファンが幻想を抱くように、歌詞の世界とプライベートは重なっている。そう思わせる雰囲気を醸し出す。ある意味、そこがアーティストのマジック。アーティストは幻想というリアリティを表現する。

そんな華やかなイメージがありながら、達彦さんは実に丁寧で、自然だった。古くからの友人に接するように心のこもった率直さをもって、歌詞の世界観を語ってくれた。

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最終更新:10/16(水) 20:42
GQ JAPAN

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