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「モンスター客との“戦い方”教えます」飲食店専門弁護士が語る“カスハラ対策最前線”

10/16(水) 5:30配信

文春オンライン

 モンスタークレーマーに、大人数の予約ドタキャン、そしてアルバイトによるSNSへの不適切な写真や動画の投稿……。「お客さまは神さまです」という日本の接客業文化の中にあって、これまで飲食店の経営者たちはさまざまなリスクに怯えてきた。

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「今まで飲食店は泣き寝入りするしかなかったんです」

 こう語るのは“飲食店専門弁護士” 石崎冬貴氏だ。9月19日、石崎氏は一般社団法人「フードビジネスロイヤーズ協会」を立ち上げ、志を共にする全国の弁護士と共に、飲食店に襲い掛かるモンスタークレーマーや大人数の予約ドタキャンなどに、六法全書を片手に対峙している。10月1日から始まった消費増税でさらなる混乱状態に陥った飲食業界で、“リーガルV”のために立ち上がった石崎弁護士に話を聞いた。

◆ ◆ ◆

――弁護士の専門分野として、飲食業界とはどのような位置付けなのでしょうか?

石崎 普通の弁護士は案件ごとに依頼を受け「着手金」と「報酬金」をいただいています。飲食店はトラブルがすごく多いのですが、ひとつひとつの案件が小さいので、このような費用のいただき方ですと、はっきりいって、弁護士にとっては“おいしくない”分野なんですよ。だから飲食店はいままで弁護士など、法的な武器を使いこなせていなかったんです。

――飲食店にとっても訴訟はコストが高いと。

石崎 勝訴しても金額でみると少額ですからね。それに、飲食業界は零細企業の集まりです。外食産業市場は25兆円くらいの規模ですが、トップ企業の売上は6000億円程度。市場全体の2%程度にすぎない。結局、町の居酒屋やレストランなど約80万件の小規模店で産業を構成しています。だから弁護士に依頼して訴訟して、というコストをかけられる店なんてほとんどないのが現実です。

“一流の対応”を求められる飲食店

――しかし、トラブルはたくさんある。

石崎 おっしゃる通り、トラブルは絶えないんです。それでも昔はまだよかった。言ってしまえば、個人経営の赤提灯ばかりで、粗暴な酔客が暴れても「ふざけんな、出ていけ!」って水をかけて終わりだった(笑)。しかし現在は有名チェーン店やFC店が増えて、コンプライアンスに、ガバナンスにと、普通の会社と同じ企業倫理を守る必要がでてきたんです。もし今、大手チェーン店で店員がお客さんに水をかけたら、風評で大変なことになります。

――SNSに書き込まれるなどのリスクもあり、店側の対応は“一流”を求められるわけですね。

石崎 はい。対応次第ではこちらが損害を被ることになりかねません。インターネットの普及は飲食店だけでなく、企業にとって脅威です。そのことに世間が気付いたのが、1999年に起きた「東芝クレーマー事件」です。

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最終更新:10/16(水) 5:30
文春オンライン

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