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銀行が融資を避けたがる…「危ない会社」の7つの共通点

10/16(水) 14:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

政府主導の中小企業支援策が実施された影響を受け、融資が受けられるようになった、補助金の申請が通るようになったと感じている企業オーナーも多いことでしょう。そのような状況においてすら、銀行側が「要注意」と感じてしまう会社とは、一体どのようなものなのでしょうか。本記事では、ファイナンシャルプランナーの鈴木みさ氏が、銀行から融資を受けられない会社の共通点を解説します。

「融資のプロ」が「それでも断りたくなる」会社がある

本記事では、銀行が融資を断りたくなる会社のことを「銀行に嫌われる会社」と呼びます。これはあくまでもわかりやすくするための便宜上のネーミングとご理解ください。

実際に銀行が「この会社は好きだから融資する」「この社長は嫌いだから融資しない」というように、感情論で融資を決定することはありません。彼らは「融資のプロ」として、客観的な目とデータでそれぞれの会社の価値を測り、融資の可否を決めています。だからこそ、彼らが求める条件に適う会社に磨き上げていかなくては、安定した融資を引き出すことが難しいのです。

では、銀行が「この会社とは付き合えない」「ここに貸しては危ない」と判断する会社とは、どういう会社でしょうか。

「銀行に嫌われる会社」7つの共通点

ここで、私がこれまでの経験から考える、融資を受ける際に「銀行に嫌われる会社」の共通点を7つ紹介しましょう。連続赤字や未納税があると融資はされないなど、会計的な面での審査基準はありますが、ここでは、もっと基本の「社長の経営者としての姿勢」の部分を挙げました。ご自分の会社やご自身の態度に思い当たる節はないか、振り返りながら読んでいただけると幸いです。

(1) 求めた資料がすぐに提出されない

(2) 融資の目的、金額が明確でない

(3) 社長が自社の決算書や試算表の内容を説明できない

(4) 経理担当者が経理に精通していない

(5) 会社としての長期的目標や方向性が明確でない

(6) 社長が高齢であるにもかかわらず、後継者が定まっていない

(7) 社内全体が乱雑で、従業員に覇気がない

順に説明していきます。

(1) 求めた資料がすぐに提出されない

(2) 融資の目的、金額が明確でない

このふたつに共通していえることは、融資を申し込む準備ができていない、すなわち無計画であるということです。ただ資金不足で融資を受けたいだけで、その目的も明確な金額も決まっていないのです。「500万円くらいあると助かるな……」といった、何となくの気分で融資を求めるパターンです。

求められた資料がすぐに提出できないのも、経理業務が疎かだからでしょう。社内での帳簿付けが日々行われていないとか、社長が日頃から経理に興味を持っていないとか、領収書はまとめて月末に、また期末に1年分を会計事務所に送るとか。このような状態では試算表も、売上の推移も、この先の見込みも何も提出できなくて当然です。

(3) 社長が自社の決算書や試算表の内容を説明できない

会社がずさんな会計になっているというのは、原因は社長自身の会計への無関心さにあります。会社のお金のことを正確に把握しようという気がそもそもないため、経理が適当な決算書や試算表を上げてきても気にも留めません。気にも留めないというより、むしろ、そこに書かれている数字の意味がわからないので、気に留めようがないのです。貸借対照表が何のためにある書類なのかを理解していない社長もいます。そういう状態では、決算書や試算表の説明などできるはずがありません。

(4) 経理担当者が経理に精通していない

明確に経理担当者がいる場合には、帳簿の作成も「自計化」ができていて、月々の試算表もリアルタイムに社長に提出されていることと思います。自計化というのは、自社でソフトを使って社内で会計処理を行うことをいいます。ですが、会社によっては、「経理」ではなく「事務担当者」を置いている場合があります。

事務担当者は電話応対や接客、備品の管理といった事務本来の仕事をしながら、売上に関わる請求書の作成発送、送られてきた請求書の整理と支払い作業、給与計算などの会計的な仕事をしています。そして、請求書や領収書などを整理して会計事務所に渡すところまでが、その役割です。つまり、帳簿付けのための材料を揃えるところまで終わっていて、帳簿付けそのものは外部に任せているケースが多いのです。

本来、社長は経理担当とコミュニケーションをとって、「今、会社がどういう業績なのか」を数字で客観的に把握していかなくてはなりませんが、経理担当が経理を把握していないので、それができません。社長も経理にそれを求めていないという問題があります。

小さな会社では人材不足になりがちで、一人で事務も経理もカバーしようとすると、どうしてもこうなってしまいやすいのですが、これでは厳しい状況下を生き残っていくことはできないでしょう。

(5) 会社としての長期的目標や方向性が明確でない

経営戦略のない会社は行き当たりばったりの対応になりやすく、会計がどんぶり勘定になりがちです。すると、業績に波が生じて安定的な経営ができません。そういう会社では、業績が悪くなってくると、目の前のお金を集めることだけに必死になりがちです。

社長が自分の蓄えを持ち出して会社の補填に充て、銀行からも目いっぱい借りて、何とか運転資金を調達しようとします。そして、今度は「借金を返すために、また借金を重ねる」悪循環にはまってしまい、最終的には首が回らなくなってしまいます。

このように、目先のお金、目先の事業しか見ていない会社にお金を貸すと、自分のところにお金が返ってこないことを、銀行はよく知っています。そういう会社は融資先の候補から外されてしまいます。

経営戦略がない会社の特徴としては、「設備投資に計画性がない」というのがあります。今期は黒字が大きくて税金が高くなるということを想定して、経費を増やすために駆け込みで設備を買ったり、急に仕入れを増やしたりします。思いつきで設備を買うわけですから、「本当に必要なもの」ではなく、「そのときにほしいもの」を買ってしまいがちです。

たとえば、従業員の座っている椅子がボロボロになっていても、新しいものに買い替えないで、社長が社用車(という名目の自家用車)をポンと新車で買ってしまったりするのです。

銀行は取引先の会社をときどき訪問しますが、あれは社長と世間話をしに来ているわけではありません。会社の設備や従業員たちの働きぶり、表情などを見て、会社の健全度を測っているのです。従業員たちがボロボロの椅子で仕事をさせられているのに、社長だけが良い車に乗っているのを見たら、銀行員は「この会社は正しくお金が使われていない」と判断するでしょう。計画性のないお金の使い方をする会社には、怖くてお金は貸せません。

(6) 社長が高齢であるにもかかわらず、後継者が定まっていない

後継者不在はどこの会社でも頭の痛いところです。銀行もまた、これは死活問題です。社長に万が一のことがあったとき会社が継続して融資返済をすることができるのか、とても不安に思っています。ですから、銀行は後継者選びにも口を出すことがあります。

私の知り合いの会社では、現社長が長男に会社を継がせようとしていたのですが、それを聞いた銀行がNGを出してきたという例がありました。「長男さんでは先行きが心配なので融資はできません。しっかりした次男さんが継ぐという条件ならOKです」というので、社長が渋々、次男を後継者にしました。ちなみに、長男と次男との関係が悪化したことは言うまでもありません。

また後継者がいるのに、いつまでも社長の座を譲らない場合も要注意です。「自分がいないと」と心配になり、譲れなくなる気持ちもわかりますが、自身は会長職に納まって、次世代に席を譲ってほしいと思います。銀行は経営者の若返りを喜びます。会社が心配ならば、後継者に譲ったうえで、新米社長をしっかりサポートしてあげましょう。

かといって、飾り物の後継者を据えることはお勧めしません。銀行はすぐにその状況を見破ります。張り子のトラはダメです。

(7) 社内全体が乱雑で、従業員に覇気がない

社内の整理整頓はとても大切です。仕事上、物が多く置いてあることはいいのですが、それらがあまりに煩雑に置かれていたり、汚れていたり、大切に扱われていなかったりする状況は、銀行のマイナス評価につながります。

従業員の態度もそうです。挨拶しても挨拶が返ってこないとか、社内全体が暗い印象を受けるような場合には、その評価はやはり下がります。なぜなら、従業員に活気のない会社に良い仕事ができるのかというと、はなはだ疑問だからです。

従業員が幸せでない会社は、従業員が辞めていったり、仕事へのモチベーションが低かったりで、結局は業績に反映します。また、銀行員は地域住民や取引先企業からの評判なども集めていて、その情報網はこちらが思っている以上に広いものです。

知られたくないことや都合の悪いことは隠しておきたいものですが、それらはほぼ筒抜けになっていると思っておいたほうが無難です。自社を見渡して「整理整頓ができていない」「従業員たちに笑顔が少ない」と思ったら、銀行側から「要注意」の評価を受けているかもしれません。

鈴木 みさ

最終更新:10/16(水) 14:00
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