ここから本文です

竜宮城って、スゴイ武器とヒドイ入れ知恵をくれるところだった!?|落語DE古事記

10/17(木) 6:05配信

幻冬舎plus

桂竹千代 (落語家)

神様のあんな話、こんな話が収録されている「古事記」。
なかなか簡単に理解できない「古事記」ですが、落語家・桂竹千代さんにかかれば、この面白さ!
幻冬舎plusの人気連載をお楽しみください。
「古事記」ではたびたび、神様同士がきょうだいゲンカをしますが、今回もその気配……。
お兄さん(海幸彦)の大事なものをなくしておきながら、お兄さんにいじわるをしようと企む弟の山幸彦。
どうなっちゃうの~! 兄・弟、あなたはどっち派?*   *   *

第26話「忘れすぎておめでターイ」

ヤマサチ「いえーい!! ほれいっきいっき!! わー! いいねタコちゃん、いい飲みっぷり! 顔赤いよ! これがほんとのゆでダコだね!」

なんてしょーもないことを言いながら、海底宮殿にて、飲めや歌えやの大騒ぎ。
連日、楽しい宴をして、3年の月日が流れたある日のことです。

魚A「今日も楽しいですね! ヤマサチさーん!」
ヤマサチ「おうよ! ほれ飲めや歌えやー!」
ワダツミ「そういえばヤマサチさんは、どうしてここへ来られたんですか?」
ヤマサチ「……え? 何でここに来たかって? そりゃあよおやっさん……そこに酒があるからだぜー!!」
魚C「いエーイ!!! (多分こいつエイだよね)」
ヤマサチ「あれ? ……でもホントは何で来たんだっけ? ……あっそうそう、兄貴の“お気に”の釣りば……うおー!! (魚だけに)そうだった!! 忘れてた!!」
魚Y(いっぱいいるからね!)「何を忘れてたんです?」
ヤマサチ「兄貴の大事な釣り針無くしちゃったから、探しに来たんだった! 忘れてた!」
魚全員「えー!! 3年も忘れてたのー!!? ぎょぎょぎょー!! (魚だけにね!)」
ワダツミ「それはいけませんな、早く探しましょう(ってもう3年経っちゃてるけど)! おーい、お前たちの中で釣り針を見たヤツはおらんか?」
魚ラ(アルファベットだけじゃ数足りないようだね!)「はーい! そういえば鯛ちゃんが喉に何か魚の骨みたいなヤツが刺さって痛いって言ってましたー! (魚が魚の骨刺さるっておい!)」
ヤマサチ「それだー!!」 

鯛の喉を見ると、ウミサチの釣り針が出て来た! (いや、気づけよ鯛! 何ておめでタイやつだ!)
ワダツミ「見つかって良かったですね」
ヤマサチ「良かったよおやっさん! ありがとう!」
ワダツミ「ただねヤマサチさん……ただこれをお兄さんに返してはいけないですぞ。謝ってるのに許してくれないなんてひどいですから、ちょっと懲らしめてやりましょう」
ヤマサチ「……と言いますと?」
ワダツミ「釣り針を返す時に、これは貧乏っちい釣り針だ、ダメな釣り針だって悪口言いながら、後ろ手で渡すんです」
ヤマサチ「子供かよ。そんなことしたら兄貴怒るよ」
ワダツミ「これが呪文なんです。そしてお兄さんが高い所に田を作るなら、ヤマサチさんは低い所に田を作り、お兄さんが低い所に作るなら、ヤマサチさんは高い所に作るんです」
ヤマサチ「要は反対にすりゃいいってこと?」
ワダツミ「私は水を支配している神ですから、それでお兄さんを貧しくさせることができます」
ヤマサチ「そりゃ心強いね。でもやっぱ、怒りそうだな~」
ワダツミ「そんな時のために、この2つの玉を差し上げます。お兄さんが怒って攻めて来たら、この塩盈珠(シオミツタマ)で海を満潮にさせて溺れさせて、お兄さんが助けを求めて来たら、塩乾珠(シオフルタマ)で助けるんです。それでまた攻めて来たらシオミツタマで満潮に……これを繰り返してるうちに、お兄さんはきっと,ヤマサチさんの言うことを聞くようになるでしょう」
ヤマサチ「おっけ! ありがとうおやっさん! ……でもこの玉2つって、もしかしておやっさんの……?」
ワダツミ「そうよ~ん、アタシのタマタマ大事にして~……ってんなワケないでしょ!」
ヤマサチ「おっ、ノリツッコミ」
ワダツミ「今のは水に流して~」
ヤマサチ「いよっ、水の神」

こうしてヤマサチは、ワダツミより呪力の玉を2つゲットします。
この海の親分・ワダツミが祀られる代表的な神社は、福岡県志賀島の志賀海神社(しかうみじんじゃ)です。志賀島と言えば、「漢委奴国王」の金印が見つかったことで有名になりました(金印レプリカのスタンプ買っちゃった! )。志賀海神社のご利益は、海上安全や漁業守護です。
さて、ヤマサチはでっけーサメに乗って、地上へ3年ぶりのリターン!
ウミサチにやっと釣り針を返せるのです。しかも3年も待たせておいて、ウミサチが怒ってきたらお仕置きしちゃおう作戦なんです。
「元々は、釣り針失くしたオマエが悪いだろ!」って誰もが言いたい気持ちはわかります。
でもヤマサチは海底で、強力な武器を得てしまったのです。
ヤマサチVSウミサチ。
まもなくゴング。


■桂竹千代(落語家)
 
落語家。千葉県旭市出身。1987年3月17日生まれ。2005年千葉県立匝瑳高校卒業。2009年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。2011年明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。元ニュースタッフエージェンシー所属漫才師、ゴーギャン職人。2011年7月、桂竹丸に入門、前座「竹のこ」。2015年9月、二ツ目昇進、「竹千代」。2019年3月、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。新宿末広亭や浅草演芸ホールなどの寄席を中心に、全国各地で落語会に出演。その他、イベント・結婚式司会、温泉ツアーガイド、古代史講座、大学講師、社会教育講演など幅広く活躍。旭市観光大使も務める。エンタの神様(日本テレビ)、爆笑オンエアバトル(NHK)、メレンゲの気持ち(日本テレビ)、グリコポッキーCM、どうする東京(MXTV)、50ボイス(NHK)、BS笑点特大号(BS日本テレビ)、ミッドナイト寄席ゴールデン(BS12)、夕やけミッドナイト寄席(BS12)SHARP・アクオス落語(全国の家電量販店にて放映)、日曜バラエティー・レギュラー出演(NHKラジオ第一)2018年4月~2019年3月、桂竹千代のJAGARAKU(FM帯広)2018年4月~2019年3月、OH! HAPPY MORNING「Today’s Focus」(JFN)※古代史専門家としてニュースコメント、春風亭昇太のピローな噺(dtvチャンネル)、竹千代の風土記(CS寄席チャンネル)などに出演。
 
 
 
 

最終更新:10/17(木) 6:05
幻冬舎plus

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ