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THE BACK HORNが大切にする「生きる力」と「日本語の深み」

10/17(木) 12:41配信

Rolling Stone Japan

日本語の深みがハマるメロディとは?

―さっきの“切ない”に戻るんですけど、日本語ってそういう言葉なのかもしれないですね。日本語がノリやすいメロディはどうしても切なさを要求してしまう。だから言葉を大事にすればするほど“切ない”歌に行かざるを得ない。

山田:確かにこの“切ない”っていう感情は日本語だからなんでしょうね。日本語の深みってやっぱりあって。一つの感情をどの言葉を選んで表現するかっていう時に、選択肢は無限大にあるんですけど、それこそメロとの収まりだったり、音との関係性で言葉の響き方が違ってくるんですよ。具体的にいうと、高い音にいったら、母音のAがきた方がいいんですよ。とか、それも全部含めてのメロディと言葉のフィット感が凄く大切なんです。

―言葉という点で話すと、M3の「鎖」は言葉のチョイスが面白いですね。<鎖でひとつになって繋ごう>っていう歌詞が衝撃的でした。ロックで鎖ときたら、鎖を切れとか……。

山田:解き放てとか?

―そうなんですよ。鎖で繋ごうっていうのが衝撃で。

山田:自分自身を閉じ込めてしまうという意味での縛り付けてしまう鎖と、自分と他者をつなぐ鎖。そのどっちもこの曲で表現したいなと思って。<絶対的な鎖でひとつになって>ってなんか“手を取り合って”みたいなイメージに一瞬なるけど、<絶対的な鎖でひとつになって繋ごう/もう二度と離れないよ>って自分の気持ちが強すぎて、ちょっとそれ危ないところまで行ってるよね?ってメンバーには言われたんですよ。でもそれが逆に熱くていいなと。

―何がこの曲を書かせたんですか?

山田:鎖って言葉はなんで出てきたんだろう? なんでだろうな? それこそ20年経って自分を俯瞰して見た時に変われない部分だったりとか、自分の意固地になってるところがあって。はたまたそれがあったからここまで来れたのもあるなとか。そういうことをいろいろ考えていた時に出てきた言葉なんですよね。

―そして、アルバムのタイトルが『カルペ・ディエム』。古代ローマの詩人・ホラティウスの詩に出てくる言葉だそうで、<その日を掴め/今を楽しめ>という意味ですが、それをTHE BACK HORN的には<今を掴め>と昇華させて、アルバムにタイトルにした、と資料にありました。

山田:そうですね。オリジナルの意味を俺らなりに昇華しました。さっき言った“生きる”っていうのが根底にバックホーンの世界観には流れているので。それこそ、ライブだったり、音楽を作ってリスナーと何を共有し合いたいのか?そういう気持ちも全部込めて“今”なんだなって。それは飛び出す度胸や、衝動を音楽で与えられたらいいなっていう気持ちもあります。そして、お客さんにも言いながら自分達にもそれは言い聞かせるための“今を掴め”ですね。

―それぞれ“今を掴む”のイメージはあるんですか?

岡峰:俺結構こういう考え方は好きなんですよ。武士道を説いた『葉隠』の精神に近いというか。1日1日毎日死を想像して腹を切る覚悟で生きろっていう考え方に憧れはあるんですけど、そういう部分にも通じるものがあるなと。先のことばっかり見続けて足元が見えてない状況も嫌だし、今ある瞬間を楽しむでもいいし、ちゃんと今を掴み取るのが一番重要なことなのかなとも思いますね、広く見すぎて見過ごすことも多い中で。あと“今を掴め”って自分達で捉え出してからより一層、それはライブっていう瞬間にはすごく近いなと思ったんですよね。その日の音だったり出会いだったりするわけなので。その感覚がTHE BACK HORNとライブとこの『カルペ・ディウム』の“今を掴め”に繋がるなと。21年目にして言える言葉だなと思いましたね。

山田:今ふと思ったんですけど、それこそ21年目の新しいスタートとして全部新曲で揃えたTHE BACK HORN自身が今を掴むために刻んだアルバムなんだなと思いましたね。

―なるほど。改めて、20年経ってこういうバンドになったってすごいですよね。

山田:多分俺達って歪(いびつ)なまんまですね。歪さのリアリティや美しさがあるなと思うんです。無理に整理していくよりも、個がぶつかり合ってグシャ!ドン!みたいな。この4人でやるんだったらそこを許し合って認め合っていこうっていうのはやっぱありますね。


<INFORMATION>

『カルペ・ディエム』
THE BACK  HORN
SPEEDSTAR RECORDS
10月23日発売

Joe Yokomizo

4/4ページ

最終更新:10/17(木) 12:41
Rolling Stone Japan

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