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杉咲花、原作にはないオリジナルキャラに「今までで一番難しい役」

10/17(木) 8:00配信

ザテレビジョン

「悪人」(2010年)や「怒り」(2016年)など映画化が続く、ベストセラー作家・吉田修一の「犯罪小説集」を映画化した「楽園」。原作小説の中の「青田Y字路」と「万屋善次郎」を組み合わせた本作の中で、原作にはないオリジナルキャラクターを演じたのが杉咲花だ。物語のベースとなるのは、12年前に起きた少女失踪事件。その少女と事件直前まで一緒にいた親友の湯川紡(ゆかわ・つむぎ)役として、彼女の抱えるトラウマ、後悔、罪悪感といった複雑な思いを繊細に演じきった。

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■ 本番になると頭が真っ白に

――紡はとても複雑な難役だったと思いますが、どう取り組もうと思われましたか?

今までで一番難しい役でした。台本を読んでいて、物語の雰囲気や紡という役の感情を漠然とは理解できるのですが、本当に紡のことを分かって演じていたのかと聞かれると、最後まですっきりしなくて。自分の中でイメージはできているのですが、いざ本番になると頭が真っ白になるというか。役のことを完全に分からないまま現場に入るのは初めての経験だったので、怖かったです。

――その杉咲さんが抱いた“分からない”という感覚が、紡の過去のトラウマに対する生き苦しさとつながっている感じがしました。

映画の最後で紡が「分からなくていい」というセリフがあるのですが、そこに影響を受けたのもあると思います。これまでは撮影の前日までに役を理解し、自分の中でかみ砕いた状態で現場にいかなければならないという思いが強かったのですが、今回は分からないまま現場に行ってみようという新たな挑戦がありました。そうしてみると、まさかの感情になることもあって、分からないことはダメではないんだということを学びました。

――監督は「64-ロクヨン-前編/後編」(2016年)、「友罪」(2017年)など骨太な人間ドラマを描くことに定評のある瀬々敬久さんですが、杉咲さんのそういった心情を理解して演出されていた感じなのでしょうか?

どうなのでしょうか(笑)。ただ、後から聞いた話では、ある取材で「どうやって演出をされていたのでしょうか?」という質問に対し、瀬々さんは「祈るしかないんだ」と答えられたそうです。

実際、現場では具体的な言葉で演出をされる方ではなく、漠然とした単語を20回ぐらい投げ掛けられる感じで、「おっしゃっている意味は分かるけど、どうすればいいんだろう」という感じでした。でも、その言葉を聞いて、それは瀬々監督の映画に対する真摯な向き合い方であり、完成した映画を見て、瀬々さんに頑張って付いていってよかったなと思いました。

■ 浩市さんが現場にいてくださるだけで安心

――紡と関わることになる事件の容疑者と疑われる豪士(たけし)役の綾野剛さんの印象は?

綾野さんとは「妖怪人間ベム」(2011年日本テレビ系)というドラマで少しだけ共演させていただいたのですが、本格的に一緒にお芝居をさせていただくのは初めてでした。ドラマ以後、映画の授賞式などでお会いしたときに「いつか一緒にやりたいね」と声を掛けてくださっていたので、それが実現して素直にうれしかったです。

ただ、今回、綾野さんが演じられた役が大変なものだったので、あまり話し掛けては迷惑かなと思い、あえて距離を取っていたんです。そうしたら、綾野さんの方から(映画の撮影の直前まで放送していた)「花のち晴れ~花男 Next Season~」(2018年TBS系)の感想を話してくださったり、撮休のときにはお食事に誘っていただいたりしました。あれだけ大変な役を演じられているのに、本番やリハーサル以外は役とは全然違う、素の綾野さんなのに驚きつつ、そのおかげで距離を縮めることができたので、とても感謝しています。

――村おこしのこじれから村八分にされていく善次郎を演じられた佐藤浩市さんとは、映画「愛を積むひと」(2015年)以来、2度目の共演となりますね。

「愛を積むひと」では、浩市さん演じる主人公のお家でお世話になっているという設定で、“おじさん”と呼ばせていただいていました。その関係もあってか、浩市さんが現場にいてくださるだけで安心感がありました。今回の撮影では特別多くお話したわけではないのですが、私の中では本当に優しく接してくださる先輩です。

■ おいしいご飯を食べて、ぐっすり寝る!

――映画では事件の起きたY字路が何度も印象的に出てきますが、この場所だからこそ生まれた感情などはあるのでしょうか?

Y字路に関しては、クランクインする前に写真をいただきました。紡にとってはトラウマで思い出したくない場所だし、そのフィルターを通して見ているからかもしれませんが、写真を見るだけでも苦しくなりました。恐らく紡はここにしかいられないんだろうなという思いもあって、目も口も閉じて、鼻もつまんで、ふさぎこめるものは全て閉じたくなるような場所でした。

だからこそ、紡がそこ以外の世界に出るシーンを撮っているときには、開放的な気持ちになりました。特に村上虹郎くん演じる広呂とのシーンは、紡にとっても唯一光を感じる部分でもあったので、広呂という名前そのままに彼は“ヒーロー”だと思いましたし、演じる虹郎くんにも助けられる部分がたくさんありました。

――紡は過去のトラウマの影響でうまくいかずにもがいている女性です。杉咲さんならば、困難にぶつかったときにどう乗り越えようとしますか?

私の困難なんて、紡のトラウマや葛藤の苦しさとはほど遠いところにあると思います。なので、それを前提としての話ですが、自分の思いを言葉にするのがあまり得意ではないので、そういうときには文章として書いて整理することもあります。それでも答えが出なければ、考えるのを1度止めて、おいしいご飯を食べて、ぐっすり寝ます!(笑)。そうすると違う考えになることもありますから。あまり参考にならない解決法かもしれませんが、ぜひ一度お試しください(笑)。(ザテレビジョン・取材・文=馬場英美)

最終更新:10/17(木) 8:00
ザテレビジョン

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