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なぜ安倍政権は財政政策を発動しないのか

10/17(木) 11:00配信

東洋経済オンライン

 10月10日、11日に閣僚級による米中通商協議が行われ、限定的な分野での合意成立が、ドナルド・トランプ大統領を含めたメンバーによる会見で発表された。15日に予定されていた「対中関税引き上げ」(約2500億ドル相当の輸入品税率を25%から30%へ)が先送りされ、同時に中国からの米国産農産物輸入拡大などが発表された。

 米中通商協議の合意への期待から、アメリカ株は10日から大幅高となり、株価は一時9月末以来の水準まで戻った。この米株式の上昇や、外国為替市場でのドル高円安進行を好感して日経平均株価は連日の大幅続伸で、ついに4月の年初来高値を更新してきた。果たして、今後の日・米株式市場、どちらに期待できるのか。

■米中貿易摩擦のマイナスの影響はこれから本格化

 今後、12月中旬には、今回とは異なる品目への関税引き上げが予定されている。これがどうなるかは不明だが、筆者は、アメリカ政府が中国に要求している知的財産保護、国内産業への補助金制限などについて合意に至る可能性は低いとみている。このため、予定通りに大方の対中輸入品に対する関税引き上げは実現するのではないか。

 ただ、米中通商協議に関する新聞記事などの「ヘッドライン」によって、金融市場が一喜一憂していた状況は、今後変わるだろう。

 また、10月に関税引き上げが見送られたからといって、米中経済が復調に向かう可能性は低いだろう。若干の関税引き上げが見送られただけで、経済を押し上げるインパクトはほとんどない。むしろ、2019年6月、9月に相次いで実現した関税引き上げが米中の貿易活動に及ぼす影響はこれから本格的に現れる。2018年から続く世界的な景気減速が長期化するとみられ、2019年央まで増益が続いていたアメリカの企業業績のピークアウト感が今後強まるだろう。

 こうした世界経済の情勢を踏まえると、2020年にかけて各国政府が、実効性を伴う経済安定化政策を打ち出せるかどうかが重要になる。アメリカでは、2019年早々に米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ姿勢に転じ、また政府の建設投資が大きく増えるなど、財政政策の押し上げが顕在化している。

 FRBは利下げを続ける見通しで、さらに10月11日に財務省短期証券を当面月600億ドルのペースで購入する政策を発表した。この対応は、短期金融市場での資金逼迫を招いた自らの失策を是正する意味合いが大きいが、FRBのバランスシートが大きく拡大するため、金融緩和を強める効果があると筆者はみている。

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最終更新:10/17(木) 11:00
東洋経済オンライン

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