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ドラフト制度をどう思いますか?Jリーグのスカウトに聞いてみた。

10/17(木) 11:46配信

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 秋も深まる10月――。

 全チームの監督がビシッとスーツを着込み、東京都内のホテルに一堂に会する。ピンと張り詰めた空気のなか、フロント陣と指揮官は一様に神妙な面持ちで円卓を囲んでいる。

【秘蔵写真】ヤンチャそうな宇佐美、柿谷、原口、大久保、憲剛、前園、ラモス…Jドラフトがあれば“上位指名確実”の名選手、若き日の勇姿。

 静まり返った会場に関野浩之アナウンサーのよく通る声が響くと、一気に緊張感が走る。

 「第1巡選択希望選手、浦和レッズ、旗手怜央、フォワード、順天堂大学」

 客席がざわつくなか、少し間をおいて次の名前が読み上げられる。

 「第1巡選択希望選手、川崎フロンターレ、旗手怜央、フォワード、順天堂大学」

 言わずもがな、フィクションである。もしも、プロサッカー界にプロ野球のようなドラフト会議が導入されていれば、こんな光景が見られたのかもしれない。

自由競争のJは“両獲り”も可能。

 Jリーグの新人獲得事情は、NPB(日本野球機構)とは大きく異る。

 原則的には自由競争。クジで優先交渉権を得なくても、クラブはどの高校生、大学生とも交渉が許されている。例えば、今年の目玉である佐々木朗希(大船渡高)、奥川恭伸(星稜高)と交渉し、2人とも獲得することもできる。実際、川崎Fは、東京五輪世代となるU-22日本代表コンビの“両取り”に成功した。順天堂大の旗手怜央(4年)と筑波大の三笘薫(4年)は、“1位指名”が確実な人気銘柄と言っていい。

 2人の逸材を獲得した川崎Fの向島建スカウトは、満足そうに笑う。

 「もしもドラフトがあれば、2人を同時に取ることなんて、できなかったですね」

獲得条件にある「相思相愛」。

 それでも、川崎Fに対して他クラブから不平不満が出るわけではない。獲得競争で後塵を拝した某クラブのスカウトは「本人の行きたいと思うクラブに行ったほうがいい」と納得していた。

 向島スカウトも「相思相愛にならないと、獲得することはない」と断言する。これと思った選手は惚れ込んで熱心に追いかけるが、強引にアプローチして勧誘することはない。

 「フロンターレでプレーしたいかどうかが、すごく重要なところ。本人が心から来たい、ここでやりたいと思わないと、プロに入ってから、しんどいときに踏ん張れません。試合に出られない時期などに我慢できなくなるんです」

 心のどこかで「本当は来たくなかったのに」という思いがあれば、人のせいにして、逃げ道をつくってしまう。こうなると、互いにとって不幸な道をたどることになりかねない。

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最終更新:10/17(木) 18:31
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