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「横須賀」エリアの中古マンションは"買い”か? 人口減で下落が続くが、10年後の再興を見込せば狙い目か

10/17(木) 16:03配信

ダイヤモンド不動産研究所

通学・通勤圏は、横浜から都心まで幅広い

 横須賀市は、神奈川南東部・三浦半島に位置しており、横浜の中心部からは約30kmほど離れている。そのため、首都圏のベッドタウンとして発展してきた経緯があるとはいえ、東京都心へのアクセスは良くないように思うかもしれない。しかし、横須賀エリア在住者の通学・通勤圏は、横浜だけでなく東京都心にまで及んでいる。

 京急なら快特に乗れば横須賀中央駅から横浜までは5駅約30分、品川までは7駅44分で到着する。意外にもアクセスは悪くないといえるだろう。

 2015年からは、三浦海岸・横須賀中央・金沢文庫・上大岡駅から品川・泉岳寺駅まで座席が確保できる「モーニング・ウィング号(京浜急行電鉄)」が運行になっている。平日の朝ラッシュ時間帯に運行されているこの電車は、都内への通勤者から好評で、2019年10月28日から、横須賀中央駅始発の便が増発されることになっている。これで通勤・通学のストレスが軽減されるのは間違いない。

新たな街づくりへの意気込みが高い、横須賀市

■定住意識は高いものの、人口減少に歯止めがかからない 市民の8割以上が市内に住みつづけたいと思っている街、それが横須賀だ。2015年の市内在住者を対象にしたアンケート結果からも、市民の定住意向が高いことが分かっている。 「今住んでいるところに住み続けたい」(63.5%)、「横須賀市内のどこかに住み続けたい」(18.5%)を合わせると、回答者全体の82%が市内に定住したい意向を示している。その理由としては、半数以上が「自然環境が豊か」(56.2%)をあげ、「買い物しやすい」(39.3%)、「親・親族が近くに住んでいる」(34.8%)と答えている。

 ところが、こんな定住意識の高さにも関わらず、横須賀市では人口減少が目立っている。現在の横須賀市人口は約40万人で、人口規模は藤沢市と同じ程度だ。しかし、総務省「住民基本台帳移動報告(2012年)」によると、横須賀市の転出超過数は全国10位、そして翌2013年には全国1位を記録した。

 先ほどの調査では「市外に転居したい」と回答した人は18%にとどまっている。その理由としては、「通勤・通学に不便」(35.8%)が最も多く、次いで「買い物に不便」(34.1%)や「市内の雇用が少ない」(30.1%)というものだった。

 つまり、これらを解消すればさらに定住志向が高くなるし、他の市からの転入者数が増えるのは間違いなさそうだ。市外への転居を希望している人のうち、通勤・通学に関して「不便」だという意見がもっとも多いが、定住志向の高い人たちは逆に「通勤・通学に便利」(29.2%)と回答しており、通う学校や会社の所在地によって評価が分かれているようだ。そうなると、市内の雇用が少ないことが、転入者が少ない理由となっている可能性が高い。つまり、市内の雇用状況の改善が重要なカギとなりそうだ。

■新しい街づくりに向けて、意欲が高い横須賀市 そこで、横須賀市では「ヨコスカバレー」構想という新たな街づくり方針を打ち出した。

 横須賀は三浦半島に位置し、幕末の開国以来、国防の重要拠点としての歩みがある。米軍基地や自衛隊が駐屯するほか、街中の看板には英語表記が珍しくなく、英語が飛び交う街でもある。そんな特性を生かして、将来有望なICT企業の誘致・集積を図る取り組みがヨコスカバレー構想だ。

 ヨコスカバレー構想には、近未来の産業都市を目指すという意味だけではなく、雇用の増加や定住促進の目的も含められている。実行委員会では、2025年までに100社の企業誘致と、雇用換算で100億円の効果額を目標に掲げているが、その前段階として、20~40代前半の若者をメンバーに取り入れ、ハッカソンやプログラミング講座を定期的に開催している。

 ヨコスカバレー構想の他にも、国内外の情報技術系の公的研究機関を集めた「横須賀リサーチパーク(通称:YRP)」の開設や、福祉関係大学などの教育機関の誘致を積極的に進めている。

 横須賀市リサーチパークの広大な敷地の中には、NTT、NEC、デンソー、KDDI総合研究所、富士通といった情報通信業界の主軸となる企業の研究所や、東京大学、京都大学、早稲田大学といった大学の研究室が進出しており、研究開発拠点として重要な場所となっている。

 また、横須賀リサーチパークが開業したことで、京浜急行・野比駅は「YRP野比駅」に改称するなど、横須賀市内でも重要な位置づけであることがうかがえる。

 横須賀市は、こうした研究機関だけではなく、ヴェルニー公園や長井海の手公園、ソレイユの丘に横須賀美術館などを整備して、観光産業にも力を入れている。

 また、縮退都市時代の先駆けとして、新たな街づくりを実践しようと、2019年3月には森ビルと「まちづくり基本協定」を締結した。令和新時代に、横須賀から新しい街づくりを発信しようというわけだ。まだ具体的な施策にまで至っていないが、大きな変革を遂げそうな予感は十分で、森ビルがどのように横須賀の街をイノベーションさせるのか、期待は高い。

 また、2018年に発表した「横須賀再興プラン」では、第3次実施計画として、2018~2021年にかけての再興政策を掲げている。再興プランすべてが2021年までに達成されるわけではないが、動き始めていることは間違いない。基地を抱える特殊な環境を抱えつつ、横須賀市の再興プランは注目を集めている。

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最終更新:10/17(木) 16:03
ダイヤモンド不動産研究所

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