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東大、ブリヂストンなど4社と走行中に電気を受け取れるタイヤを開発

10/17(木) 9:00配信

日経ビジネス

 東京大学大学院の研究グループは10月10日、ブリヂストン、ローム、日本精工、東洋電機製造の4社と共同で、電気自動車(EV)が走行中に電気を受け取ることができるタイヤを開発したと発表した。受電とモーター駆動の全機能をタイヤに収めたのは、世界初という。交差点の周囲などに埋め込んだ送電装置から電気を受け取ることで、駐車場などで充電する必要がないEVが実現できるとしている。  

 走行中に道路に埋め込んだ送電装置からEVに電気を補充できれば、EVに載せるバッテリーの軽量化や製造コストの削減につながる。欧米や韓国、イスラエルなどが実証実験を進めるなど開発競争は過熱している。

 研究グループは、電気を受け取る機能をタイヤに収めることにこだわってきた。すでに実用化されている、停車中のEVにワイヤレスで電気を送る充電システムは受電装置が車体にある。だが、受電装置が車体にあると、乗車人数や荷物の重さ次第で道路側にある送電装置との距離が変化してしまい、送電が安定しない。また、空き缶などの金属が車体と道路の間にあると、送電を止める必要があるという弱点があった。

 タイヤに受電装置があれば、金属の異物が邪魔をする心配がなく、装置間の距離を一定にできる。今回、ロームが高効率で小型なパワー半導体を開発、ブリヂストンが金属素材を使わないタイヤを提供するなど開発に協力した。20kWの給電で給電効率92.5%を達成し、モーターの性能は軽自動車クラス(車輪1つあたり12kW)から、乗用車クラス(同25kW)まで向上した。2022年までにこのタイヤを使った車両の評価を進め、25年に実証実験に移す。

 タイヤに機能を集約するメリットはほかにもある。道路側から受け取った電気を、タイヤ内にあるモーター駆動部品に送れるため、現在のEVのような大容量のバッテリーやドライビングシャフトなどは必要がなくなり、軽量化とコスト削減につながる。

 現在、EVの普及の壁になっているのが航続距離だ。研究チームが神奈川県の国道を200km走って分析したところ、各信号機の手前30mの位置から送電装置を11基置けば、ほぼ満充電の状態で200kmを走り切れるとの試算結果が出た。

 研究グループを主導する東京大学大学院の藤本博志准教授は「EVが1000万台規模、プラグインハイブリッドが2600万台規模で普及する頃には、電池の製造に必要なリチウムやコバルトが枯渇し、資源不足に陥る」として、バッテリーに頼らないEVの必要性を訴える。藤本准教授は、15年おき程度のペースで行われる道路工事の際に送電装置を敷設する費用の方が、EVバッテリーの開発費と比べて安価だとみる。

 自動車メーカーなどが研究に力を入れる自動運転は、道路などインフラ側にもセンサーや通信装置の設置を必要とする。自動運転などとともに走行中にも電気を受け取れるEVは広がるか。新技術への期待が高まる。

鷲尾 龍一

最終更新:10/17(木) 9:00
日経ビジネス

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