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介護保険だけで賄えない「在宅介護費用500万円」をどうカバーするか

10/18(金) 16:00配信

マネーポストWEB

「ついにこの日が来たか」。その連絡を受けたとき、63歳のA氏は覚悟した。実家で一人暮らしの母(86)の認知症が進み、深夜徘徊で警察に保護されたのだ。気丈だった母だが、正月に会った時に会話が噛み合わず、“もしかしたら”という予感はあった。だが、これから介護費用にいくらかかるのか、全く想像がつかない――。

 老親が介護を必要とする状態になったら、まず市区町村の地域包括支援センターに相談する。そこで介護保険制度の「要支援・要介護認定」に向けた手続きが始まり、認定(要支援1~要介護5までの7段階)されれば、介護サービスを受けられる(親が住民税非課税世帯なら自己負担1割)。

 しかし、実際にかかる費用は介護保険だけでカバーできないのが現実だ。両親を在宅介護で看取った経験がある介護ジャーナリスト・末並俊司氏が語る。

「在宅介護の場合、紙オムツや尿漏れシート代に月約2万円、嚥下しやすい流動食の費用、下の世話をする使い捨て手袋、ポータブルトイレの臭い消しなど、介護保険からは出ない費用がかさみます」

 生命保険文化センターの全国実態調査(平成30年度)によると、自宅で「在宅介護」を行なう際の住宅リフォームや介護ベッドなどの購入などにかかる初期費用が平均69万円、毎月の介護にかかる費用が平均7.8万円で年間ざっと100万円だ。介護した期間は平均4年7か月だから、初期費用を合わせた総額は約500万円かかる計算になる。

 この費用をどうすれば減らせるか。介護保険には毎月の介護サービス費とは別に、「高齢者住宅改修費用助成制度」がある。自宅への手すりの取り付け、床の段差の解消、トイレの和式から洋式への取り替えなどのリフォーム費用に最高18万円が助成される。

 介護保険適用外の費用も、自治体ごとの制度を利用すればかなりカバーできる。

 意外に負担が大きい紙オムツ代だが、多くの自治体には要介護の高齢者の紙オムツの費用への補助が出る。たとえば東京・千代田区の場合、紙オムツは月8200円分まで9割引(820円)で買える。その他にも、高齢者の寝具の乾燥消毒サービス(年6回)や訪問理美容サービス(年8回)、介護保険の限度額を超えた利用者への追加の訪問介護サービス(週10時間未満)などが、同様に1割負担で利用できる。

「介護保険のサービスには上限があるから、ヘルパーに来てもらうのは食事や入浴、排泄の介助など身体介護だけにして、ヘルパーでなくてもできる買い物や食事の準備などはシルバー人材センターに頼めば、時給1200円くらいでやってもらえます。そうすれば介護の質は充実するし、家族の負担も軽減できます」(末並氏)

※週刊ポスト2019年10月18・25日号

最終更新:10/18(金) 16:00
マネーポストWEB

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