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退職金・健保・税… 定年後の疑問、だれに聞くべき

10/18(金) 7:47配信

NIKKEI STYLE

定年が近づいてくると、その後の生活のことがあらゆる面で気になります。特に社会保険については、現役時代にほとんどの方は会社の庶務にお世話になっていたでしょうし、家庭のお金のことは奥さんに任せっきりという人も多いでしょうから、どんなことに気を付けて何をしておけばいいのかは気になるところです。
世の中にある定年対策本に一般論は書いてありますが、こうした話の多くは一人ひとり、ケースによって異なりますから、実務的にはあまり役に立たない場合が多いのです。そんなとき頼りになるのは誰かというと、一足先に定年退職した先輩です。それも同じ会社を退職した2~3年先輩の情報はとても参考になります。

■相談するならまず先輩

その理由は(1)同じ会社に勤めていたので、自社の退職給付制度や健康保険などについて他ではわからないことも教えてもらえる(2)同じ会社なので生活水準もそれほど変わらないことが多く、参考になりやすい(3)一足先に体験しているため、経験していないと気付かない注意点を教えてくれる(4)利用者の立場で説明してくれるので会社など制度を運営する側に聞くよりも分かりやすい――などです。
(1)に関して言えば、退職後の生活や家計運営をファイナンシャルプランナー(FP)に相談しても、あまり役に立ちません。なぜなら彼らはあなたが勤めていた企業の退職給付制度のことを知らないからです。もしあなたが自社の仕組みをよく知っていてFPに伝えることができればいいのですが、そうした人は恐らくあまり多くないでしょう。したがって先輩に聞く方がずっと役に立ちます。FPに相談するのはその後でも決して遅くありません。(2)も同様です。同じ会社の先輩だから制度も待遇もほぼ同じなので現実的に役に立つのです。
(3)については、例えば私は退職した先輩から「辞めた翌年の住民税は意外に取られるから気を付けておけよ」というアドバイスを受けました。確かに住民税は所得税と違って前年度の所得に対して翌年に課税されます。つまり現役時代で比較的収入の多かったときを基準にして税金が計算され、収入のなくなった退職後に請求されるのですから、金額を見たときのショックは大きくなりがちです。私自身も多少は税のことを知っていましたが、自分が実際に体験するのはちょっと感覚が違います。退職前に先輩に教えてもらっておいてよかったとつくづく感じたものです。

(4)は退職手続きに限らず、多くの場合に言えることです。病院での医師の説明や行政窓口での手続きの説明など分かりにくい例は少なくありません。これは説明する側が専門家だから起こることです。彼らにとってはごく当たり前のことでも、聞く方は素人で初めて聞くのですからすぐには理解できません。そこで質問しても、相手は何が分からないのかが分からないといった具合に不毛なやり取りが続くことはよくあります。こうしたことから、同じ立場で2~3年前まで全く素人だった先輩に「要するにこういうことだ」と説明してもらうのが良い方法と言えるでしょう。
このように同じ会社に勤めていて退職した先輩に聞くのがお勧めなのですが、あまり前に退職した人の場合は会社の制度が変わっている可能性があるので参考にならないケースもあります。あくまでもこの数年以内に定年になった先輩に聞くのが良いと思います。
ただし聞くべきなのは具体的な制度や手続きに関してであって、定年後の心構えや生き方についてはあまり参考にしない方がいいでしょう。これこそ人それぞれで、定年後の生活をネガティブに考えている人も、ポジティブに考えている人もいます。でもそれは個人の考え方であって、自分なりに考えれば良いことです。前向きな考えであればまだしも、ネガティブなオーラを全身に浴びるというのは、私の経験上もあまりいい気分にはなりません。生き方はぜひ自分の考え方で貫いてください。
「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は10月31日付の予定です。
大江英樹野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年3.0 50代から考えたい『その後の50年』のスマートな生き方・稼ぎ方」(日経BP)、「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(同、共著)など。

最終更新:10/18(金) 7:47
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