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〔徹底比較〕イオンとセブン&アイの「課題と改革」

10/18(金) 5:00配信

商業界オンライン

  2大流通グループのイオンとセブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイ)の19年度上期決算が発表された。

 イオンは営業収益4兆2902億1500万円で前年同期比0.6%増、営業利益は863億2600万円、3.9%減の増収減益だった。純利益はイオンディライトの子会社であるカジタクの不正会計処理による修正額を第1四半期に一括計上したことで、64.1%減の37億9100万円大きく落ち込んだ。

 一方、セブン&アイも、営業収益は3兆3132億2400万円と前年を0.9%下回ったが、営業利益は2.8%増の2051億2700万円の減益増収で、純利益は9.2%増の1106億4700万円となり過去最高となった。

2大流通グループの「稼ぎの構造」

 しかし、両者とも不振事業を抱えており課題も多い。この機会を利用して両グループを比較。現状を分析しながら、改めてその問題点を明らかにし、今後の行く末も占ってみる。

 まず、この数値から明らかなのはセブン&アイがイオンに収益力で大きく勝るという現実がある。営業利益率はイオンの2.01%に対し、セブン&アイが6.19%と大きく上回り、純利益もカジタク分を除いても、10倍近い開きがある。

 規模ではイオンだが、利益はセブン&アイ。この構図は以前からずっと続いており、収益力の向上がイオンの長年の課題となっている。

 これは既に広く知られていることだが、セブン&アイがコンビニのセブン‐イレブン・ジャパン(以下SEJ)という金の卵を持っているためだ。コンビニ事業は本部にとっては小売ビジネスでなく、加盟店に商品を供給し情報・サービスを提供する収益性の高いライセンシー事業であることによる。イオンもミニストップでコンビニ事業を手掛けているが、圧倒的にスケールが小さく、同業他社と比較して収益力も高いとはいえない。

 セブン&アイの国内外のコンビニ事業の営業利益は全体の84.9%を占め,そごう・西武(以下SS)の百貨店事業とイトーヨーカ堂(以下IY)の赤字を補てんしている。2番目の稼ぎ頭が271億円のATMのセブン銀行に代表される金融事業で全体の13.2%を占める。

 小売事業ではヨークベニマル、ヨークマートなど(IYを含む)、のスーパーストア事業は全体の3.4%、赤ちゃん本舗やロフトといった専門店事業は2.0%を占めるにすぎない。

 つまり、SEJに”おんぶにだっこ”の状態で、多くの業種・業態を展開しているグループとしては極めていびつな利益構造となっている。

 そうした中、SEJの今上期の既存店売上高が0.6%減少し陰りが見え始めている点が懸念材料。24時間営業問題で一部加盟店オーナーと対立し社会問題化し、本部と加盟店オーナーとの関係性やコミュニケーションの問題も浮上している。

 こうした点からSEJでは本部と加盟店の利益配分を見直すことにし、新たな加盟店支援策として、20年3月から定額のインセンティブ制度を導入し、1店舗当たりの収益は年間約50万円改善されるとしている。しかし、人手不足による人件費の高騰もあり、まだまだ十分な手当て策ではなく、効果は限定的なものになりそうだ。

 営業政策では成果を上げている「新レイアウト」を進化させ導入を進め、販売力を高めて売上げを増やそうとしている。

 ただ、今回明らかになったことで衝撃的だったのが、SEJ全店舗の3分の1にあたる約7000店舗が、月間の売上総利益額が550万円以下の低収益店舗であること。日販がチェーン平均よりはるかに低く、収益力の劣る店舗も相当数に上り、店舗間格差が厳然として存在しており、「セブン最強神話」が内部から崩れ去ろうとしている。

  収益の多くをコンビニに依存するセブン&アイに対し、イオンは営業利益ベースで、総合金融事業(イオン銀行、イオンクレジットなど)が346億円と全体の36.0%、イオンモールをはじめとするディベロッパー事業が282億円で29.3%と、この2事業が収益の両輪だ。

 また、ヘルス&ウエルネス事業(ドラッグストアのウエルシアなど)とサービス・専門店事業がそれぞれ17.6%と、これら4事業で利益の大半を稼ぎ出している。

 その半面、GMS事業(イオンリテールなど)は75億円の赤字。スーパーマーケット事業(ダイエー、マックスバリュ西日本など)の営業利益は25億円にとどまっている。

 営業収益ではSM事業が1兆6051億円、GMS事業がが1兆5304億円と1、2位を占める主力事業で、ここで収益性を高められれば利益構造も大きく変わる。一刻も早く収益性の高い事業構造に転換させることが求められる。

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最終更新:10/18(金) 5:00
商業界オンライン

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