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城崎温泉に生まれた、新たな食と文化の拠点〈さんぽう西村屋〉。

10/18(金) 18:30配信

Casa BRUTUS.com

老舗旅館〈西村屋〉による初のダイニング〈さんぽう西村屋 本店〉が誕生。松葉蟹や但馬牛など豊かな土地の食材を提供するほか、ギャラリー機能なども備え、城崎の新たな魅力を広く発信していく拠点となる。

志賀直哉『城の崎にて』の舞台として広く知られる、湯の町・城崎。日本海で揉まれた松葉蟹、神戸牛や松坂牛のルーツたる但馬牛といった豊かな食の文化に加えて、2014年に誕生した〈城崎アートセンター〉を中心にアート・デザインの文脈も加わって、いま一層の注目を集めている。2014年からの5年で40倍に増えた兵庫県豊岡市の観光客のうち、88%もの人々がこの城崎温泉を訪れている。

そんな急速な発展を遂げる街の、食とカルチャーを担う新たな拠点として誕生したのが、この〈さんぽう西村屋 本店〉だ。創業150余年を数える老舗温泉宿〈西村屋〉の伝統を引き継ぐ和のダイニングであるとともに、地域の食材や工芸を活かしたオリジナルギフトを販売するショップ、また湯めぐりする客の休憩所やギャラリー機能などを兼ねたサロンも併設。城崎の歴史を継承しながら、かつ幅広い魅力を国内外に向けてさらに発信していく場になる。

クリエイティブディレクション・設計を手がけたのは、〈羽田空港第1ビル〉内の〈ヒトシナヤ〉などの店舗設計のほか、〈自由学園みらいかん〉なども手掛ける、〈松井亮建築都市設計事務所〉の松井亮。いまの城崎を、他にはない無二の温泉街たらしめている多彩な文脈を、デザインレベルにまで丁寧に織り込んでいった。たとえば、店内中央に据えられた囲炉裏と煙突を兼ねる大きな行燈は、城崎で長く親しまれる〈三柱神社〉が祀る、火とかまどの神に由来するもの。湯によって発展を遂げてきた城崎の地における、火とその恵みへの特別な思いを象徴するとともに、四方を囲むカウンター席に座る客の目を愉しませる。

また、壁や天井のスリット、二階の床に見られる千鳥格子など、幾何学的な意匠の背景には、フランク・ロイド・ライトの影響がある。この〈さんぽう西村屋 本店〉に隣接する、数寄屋建築を代表する存在である平田雅哉が手がけた〈西村屋本館 別館・平田館〉を訪れてみると、純和風旅館の佇まいでありながら、随所にライトが用いたような造形がちりばめられていることに気がつく。これは、ライトによる〈帝国ホテル 旧本館〉や〈自由学園 明日館〉を見て感銘を受けた平田が、独自の解釈のもとで表現したもの。昭和三十五年より愛されてきた〈平田館〉におけるこうした細部を、〈さんぽう西村屋 本店〉でも、やはり松井独自の表現で継承したかたちだ。また松井は、〈自由学園〉が2017年に東久留米に新設した〈自由学園 みらいかん〉を手がけたという縁もある。

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最終更新:10/18(金) 18:30
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