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「エビに優しい」養殖技術、日本から世界へ

10/18(金) 12:00配信

JBpress

 日本人に縁の深い食材「エビ」に光を当てている。

 前篇では、日本人がエビとどう接してきたか、その歩みをたどった。戦後、エビの消費量は急増したが、その要因のひとつとして、日本人研究者によって確立されたエビ養殖技術が世界的に普及し、世界から日本へのエビの輸入が増えたという経緯があった。日本のエビは、もはや世界との関わりなしでは語れないものとなっているのだ。

【写真】水産生物飼育実験室

 後篇では、エビの養殖関連技術をめぐる先端研究を伝えたい。国際農林水産業研究センター(国際農研、茨城県つくば市)では、養殖エビの産卵や成熟を誘導するため行われてきた「眼柄切除(がんぺいせつじょ)」という方法に代わる技術の開発が進められている。実用化されれば、国内外での種苗の安定供給や、動物福祉の観点での問題解決につながりそうだ。

■ 海エビを淡水で育てる技術で陸上養殖を実現

 国際農研は、熱帯・亜熱帯地域や開発途上地域における農林水産業の技術向上に向け、試験研究などを行う国立研究開発法人。世界の食料問題や環境問題の解決、また農林水産物の安定供給などに貢献することを目指している。

 エビ関連の研究でも大きな成果を上げてきた。そのひとつに、「バナメイエビ」というクルマエビ科の「陸上養殖」実現化がある。

 クルマエビ科の養殖は、海沿いのマングローブ林などを切り開いて行われる。だが、この方法は海洋汚染などを引き起こし、また、エビの伝染病や悪天候による供給不安定といったリスクを抱えるものでもある。

 そこで、エビ養殖場を海上でなく陸上につくり、閉鎖循環式のシステムでバナメイエビを養殖するプロジェクトが行われた。バナメイエビは海の生きものだが、衛生的に管理できる淡水化養殖技術の開発により、陸上養殖への道を切り開こうとしたのだ。

 プロジェクトでは国際農研のほか、IMTエンジニアリング(新潟県妙高市)、水産研究・教育機構の増養殖研究所、ヒガシマル(鹿児島県日置市)が共同研究を進め、実証プラントでは、最終生存率58.9%、生産密度9.43kg/m^3という高効率な生産性を実現した。2007年より新潟県妙高市で商業運転が開始され、現在も「妙高ゆきエビ」のブランドで販売されている。海外でも、このシステムで試験的な養殖が取り組まれている。

 プロジェクトを率いてきた国際農研のマーシー・N・ワイルダー氏は、「ほぼ淡水といえるほどの低塩分で養殖できるため、排水を下水で処理することが可能。コスト抑制を実現できました。特定病原菌をもたないエビの養殖技術を確立できた点も大きなプロジェクトの成果です」と話す。

■ 成熟を促す「眼の切除」には課題も

 このような成果を上げてきた国際農研が、現在エビの養殖関連技術で取り組んでいるのが、「エビが成熟するしくみを解明し、高度な種苗生産・養殖技術を開発すること」だ。

 メスの親エビのもつ卵を人為的に成熟させられれば、産卵を促すことができる。産卵がどんどん進めば、種苗である稚エビを安定供給できるようになる。では、どうすればよいか。

 これまで、世界的に需要のあるクルマエビ科の養殖では「眼柄切除」とよばれる方法がとられてきた。エビの眼の部分を切って除いてしまうのだ。

 眼の裏側には「サイナス腺」、それに「X-器官」とよばれる器官があり、ここから「卵黄形成抑制ホルモン」という物質が放出され、それにより卵の成熟が抑制される。そこで、これらの器官を根こそぎ切除してしまうことで「抑制」をさせなくすれば、エビの卵成熟が進むことになる。これが眼柄切除だ。

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最終更新:10/18(金) 12:00
JBpress

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