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武蔵小杉「タワマン被災」でわかった「災害に強い」マンションの条件

10/18(金) 6:01配信

現代ビジネス

防災意識が高くても…

 日本全国、いつどこでどんな災害が起きても不思議ではなくなった。日本の全人口の12%が暮らす分譲マンションでも「水害の怖さ」が再認識されている。

「武蔵小杉がいま熱い!」と騒ぐ人たちがまったく気づいていないコト

 今月半ばの台風19号の風水害では、多摩川の堤防に近い川崎市中原区・武蔵小杉のタワーマンションが、地下の配電設備への浸水によって停電、断水。ライフラインが断たれ、生活不能の状態に追い込まれた。

 47階建て、おそらく1500人以上が暮らすこのマンションには、取材陣が押しかけ、ワイドショーは超高層マンションの災害への弱さを強調した。住民が管理会社に維持管理を任せきりであるかのような論調もみられる。

 しかし、このマンションの記録を見た限りでは、防災に特段の手抜かりがあったとは想像しにくい。区分所有者で構成する管理組合には「防災・防犯委員会」が設けられ、独自の防災マニュアルを作っていた。住居階に水と簡易トイレを置き、5階ごとの拠点倉庫に備蓄品を保管。

 もちろん自家発電設備もあり、災害時に高層階でも「自立」して生活を続けられるように工夫が凝らされている。防災センターには24時間・365日、警備会社の警備員がつめる。平均的なマンションより防災意識はむしろ高かったのではないか。

 ところが、停電と断水で、すべての防災シナリオが吹き飛んだ。エレベーターは動かず、トイレも使えなくなった。真っ暗な非常階段を、懐中電灯を照らして、何十分もかけて昇り降りするのは耐え難い。多くの住民が仮住まいを強いられている。

 川崎市は、多摩川べりからマンションが隣接する道路まで「洪水浸水想定区域」に指定している。浸水リスクへの対応の難しさがもたらした悲劇としか言いようがない。

 拙著『生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて』(岩波新書)でも工業の街だった武蔵小杉駅周辺が、2000年代の工場移転と、JR横須賀線武蔵小杉駅の開業を機に超高層マンション林立地帯に変貌した経緯を記した。急速なタワーマンション建設にインフラ整備が追いついていない状況も書いた。

 そうした問題が背景にはあるが、論点を拡げると焦点がぼやける。今回は水害での「電気と水の喪失」にテーマを絞ろう。

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最終更新:10/18(金) 6:01
現代ビジネス

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