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「刑事ドラマ」は絶好調でもテレ朝がそんなに喜べない理由 キーワードは「リーチ力」

10/18(金) 11:01配信

デイリー新潮

 秋ドラマが順次始まり、各局が新たな視聴率競争に突入した。

 ただしドラマがどれだけ多くの人に届いているか、いわゆる「リーチ力」で比べると、視聴率とは別の風景が見えてくる。夏クールのドラマで、どう異なるのかを見てみよう。

【写真】「Heaven?~ご苦楽レストラン~」主演を務めた石原さとみ

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TBS3ドラマのリーチ力

 はじめに、ドラマ1話の3分の1以上を視聴し、かつシリーズの中で3話以上見た割合を「接触率」と定義しよう。

 図1は、TBSの『Heaven? ~ご苦楽レストラン~』『凪のお暇』『ノーサイド・ゲーム』と、3ドラマの接触率の関係を示した図だ。関東地区でモニター4523人の情報消費行動を調べるインテージ社i-SSPを使って算出した。

 すると『Heaven?』の接触率は13%、『凪のお暇』は13%、『ノーサイド・ゲーム』は15%となる。平均視聴率12・0%だった『ノーサイド・ゲーム』は、接触率でも一番高かった。より多様な人が見たドラマだったと言える。

 では3本とも接触した人は、どれくらいいたのか。

 3つの円すべての重なり部分で、3%となった。3ドラマとも見るという、かなりのドラマ好きと言えよう。

 さらに3ドラマのうち、他2つは見なかったが1つだけ見たという人はどうだろう。

『Heaven?』で4%、『凪のお暇』で5%、『ノーサイド・ゲーム』で7%。

 どうやら『ノーサイド・ゲーム』は、視聴率・接触率が高いだけでなく、他のドラマはさておき、これだけは見たいというコアなファンが多いドラマだったようだ。

 ちなみにこの3つのTBSドラマは、どれだけ多くの人に届いているか。図1の重複部分を減算した、トータルリーチ力として見ると27%となった。つまり、テレビ視聴者の3割近くが、TBSのいずれかのドラマを視聴した格好だ。

局別のリーチ力

 ではGP帯(夜7~11時)にドラマを3本放送した他3局と比較してみよう(図2)。

『偽装不倫』『ボイス 110緊急指令室』『あなたの番です』を編成した日本テレビは、各ドラマの接触率の合計はTBSと全く互角だったが、トータルリーチ力は2ポイント低い25%に留まった。

『監察医 朝顔』『TWO WEEKS』『ルパンの娘』のフジテレビは、個別ドラマとしては『監察医 朝顔』の接触率が17%とトップだった。ところが『TWO WEEKS』の7%が響き、トータルリーチは23%で、局別には3位となった。

 そして『刑事7人』『科捜研の女』『サイン―法医学者 柚木貴志の事件―』のテレビ朝日は、個別ドラマの接触率がそれぞれ低かった。加えてトータルリーチも15%と、他3局に大きく水をあけられてしまった。

 実は各局3ドラマの平均視聴率では、トップはテレ朝の11・23%だった。そして2位が日テレの10・9%、3位がTBSの10・23%、最下位がフジの8・8%となる。ところがトータルリーチでは、3位のTBSがトップに。そして視聴率1位のテレ朝は、トータルリーチ力では最下位に沈んでしまった。

 つまり視聴率とリーチ力との間には、正の相関関係がないことがわかる。

 テレ朝が視聴率でトップながらリーチ力で最下位となったのは、3ドラマに多様性がないためだ。『刑事7人』(水曜21時)、『科捜研の女』(木曜20時)、『サイン』(木曜21時)は、3ドラマとも事件モノでサスペンスとなっている。

 もともと同局は、週3のドラマ枠の性格を固定化してきた。水曜21時枠は東映制作の「刑事ドラマ」で、1987年春クール以降、32年続いている。木曜20時枠は「木曜ミステリー」で、1999年冬クールからの伝統だ。そして木曜21時枠の「木曜ドラマ」だけは、特にジャンルを固定化することなく、いわば自由枠となっている。

 ところが実際には刑事モノ・事件モノが制作されることが多く、この夏クールのように3本とも似たジャンルになることも珍しくない。

 理由は刑事モノ・事件モノの視聴率が安定しているからだ。物語が連続せず1話完結となるため、途中を見逃した視聴者にも見やすい。ところが、いずれのドラマも「似たり寄ったり」と、全く見ない層が存在している。これがリーチ力を下げているのである。

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最終更新:10/22(火) 14:08
デイリー新潮

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