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山で使える「観天望気」。雲や雪煙の動きで上空の風の強さを知る方法

10/19(土) 11:40配信

YAMAKEI ONLINE(ヤマケイオンライン)

「観天望気」という言葉をご存じでしょうか。昔からある「夕焼けは晴れ」というのが観天望気で、この諺(ことわざ)は、実は大変理にかなったもので、現地で天気を知るための非常に有効な手段となります。

【動画】安達太良山上空の雲の動きを標高1200m付近から確認する

日本などの中緯度帯では、上空には偏西風と呼ばれる強い西風が吹いています。低気圧や高気圧は偏西風の流れに乗って移動するため、天気は西から東へと変わっていきます。夕焼けが見えるということは、西の方は晴れていることなので、晴れているエリア(高気圧に覆われたエリア)が明日はこちらに移動してくるため、晴れが期待できるということです。

ただし、この諺は春や秋の周期的な天気の変化の時には当たることが多いのですが、梅雨時のように梅雨前線が南北に移動する時には当てはまりませんので注意が必要です。

今回は観天望気の中でも、『雲や雪煙の動きで上空の風の強さを知る』ということをテーマに取り上げたいと思います。山での強風は滑落事故や低体温症など遭難事故に直結する大変重要な気象要素です。

9月19日の安達太良山で「雲の動く速さで風を読む」を実践

9月19日(木)に、有給休暇を取得して東北の百名山の一つ、安達太良山(1700m)に登ってきました。上の写真は、奥岳登山口から入山して、途中の勢至平(標高約1200m)付近からスマートフォンで撮影したものです。

次に、以下の動画を見ていただくと分かるように、強い西風(正確には西北西の風)によって、非常に速い速度で雲が西から東に向かっています。

<動画>

この雲は高さや形状から、低い所にできる層雲と判断できます。ちょうど安達太良山の稜線付近の高度までこの層雲に覆われていたので、この雲の流れは安達太良山の稜線付近の風の流れを可視化していると考えられます。

これだけでも稜線で強風が吹いていることが分かりますが、実際にはどの程度の風が吹いているのでしょうか。そこで、観天望気で風速を見積もってみましょう。

腕を伸ばして、立てた人差し指で角度を見積もって、雲の移動速度を計算する

まずは雲が1秒間に全天180度の中の、どのぐらいの角度を動くのかを見積もります。この角度は、下写真のように、腕を伸ばして人差し指を立てて計測します。人差し指の横幅が約1度の視野角(目から見える角度)となります。

続いて視野角から雲の移動距離を計算します。以下、慣れるまではとっつきにくい計算式になりますが――、視野角の単位を「度」から「ラジアン(rad)」に直して、雲までの距離を掛ける(乗算する)と風速になります。今回の安達太良山の場合は、1秒間で人差し指2本分を移動していましたので角度は2度、すると計算式は

2度×(π÷180度)≒2度×(3÷200)=0.03rad

雲までの距離は、ほぼ真上の雲を見ており、稜線1700mと同じ高度なので、1700m-1200m(現在地の標高)=500mを掛けることになるので、

500m×0.03rad/s=15m/s

すると、安達太良山の稜線はかなりの強風(15m/s)が吹いていることが稜線に登る前に予想できます。

なお、角度の単位を「度」から「ラジアン」に変換するにあたっては、暗算で計算しやすいように「π(円周率)→3」、「180度→200度」としているのがミソです。慣れてくると、歩きながらでも計算できると思います。

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最終更新:10/19(土) 11:40
YAMAKEI ONLINE(ヤマケイオンライン)

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