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中国では農村部の人々の医療データまで、AIの学習に使われている

10/19(土) 13:11配信

WIRED.jp

中国の農村部の一部では、健康診断や診察などの医療サーヴィスが無料で提供されている。その目的とは、人工知能(AI)を学習させるために必要なデータの収集だ。

医療とAIとの融合が加速

小雨が降るある土曜日のこと。中国・河南省の田舎に住むリウ爺さんは、健康診断のために村の診療所にやってきた。68歳になったいまも元気だが、診断を受けるのは今年に入ってから2回目だ。血圧を測り、心電図をとって、尿検査と血液検査もやってもらう。

リウ爺さんは「(健康診断のおかげで)体のことがもっとよくわかるようになって、前より安心しているよ。ありがたいことだ」と話す。高血圧と慢性的な足の痛みはあるが、車で30分ほどかかる町の病院に行ったことはない。昨年から村には定期的に移動診療車がやってきて、健康診断が行われるようになったからだ。サーヴィスはすべて無料である。

ただし、リウ爺さんが知らないことがひとつある。この無料診断を提供するのは、WeDoctor(微医集団)というテンセント(騰訊控股)傘下の医療企業だ。リウ爺さんはWeDoctorなどという名前は聞いたこともないが、WeDoctorのほうは彼のことをよく知っている。

蓄積されていく診断データ

WeDoctorは河南省内で医療サーヴィスや健康保険、医薬品を提供し、ヘルスケア関連のレクチャーなどを行う内容の協定を、2017年4月に同省の地方自治体と結んだ。そしてリウ爺さんが住む村がある同省コウ県で、パイロットプロジェクトが実施されることになったのだ。移動診療車や健康診断に使われる機器にはWeDoctorのロゴは入っていないが、ここで集められたデータは個人を識別する番号が付けられ、同社のデータベースに蓄積されていく。

データは「総合診療医向けの補助診断システム」を含むWeDoctorの人工知能(AI)プログラムを訓練するために使われる。このシステムを使うと、患者の症状を入力するだけで、AIが可能性のある疾患名と治療法を探し出してくれる。

WeDoctorによると、データベースには2,000種の疾患と5,000以上の症状が記録されており、AIによる「診断」の精度は90パーセントを超える。そしてWeDoctorと自治体との契約によって、コウ県の医療従事者はこのシステムを利用することができる。

任庄村の医師ジャン・チャオフェンは、AIの補助診断システムによって仕事が楽になったと語る。「補助診断システムのおかげで、自信をもって診断が下せるようになりました。診療する際の手助けがあることに感謝しています」

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最終更新:10/19(土) 13:11
WIRED.jp

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