ここから本文です

『カメ止め』上田慎一郎監督の無名役者でおもしろ映画を作るコツ【スペシャルアクターズ公開】

10/19(土) 10:32配信

GOETHE

2018年度の映画界に旋風を巻き起こした『カメラを止めるな!』。一躍、国内外が注目する映画監督になった上田慎一郎は、新作『スペシャルアクターズ』で何を見せてくれるのだろうか? 10月18日の映画公開直前に、上田監督を直撃した。

借金苦を「いいこと」に変える

僕のベースには、楽観的な資質があるんでしょうね。20代前半で詐欺まがいのマルチ商法に足を突っ込み、200万円の借金。さらに共同出版で小説を出し、そこでも200万円の借金を背負いました。代々木公園でホームレス生活をしていた時期もあるんですよ。でも、こうした「悪いこと」を、14歳から20歳までは日記に綴り、20歳になってからはブログでエンタメ化してアウトプット。結局、「悪いこと」はすべて「いいこと」になった。お笑い芸人的な思考回路の持ち主なんです。

そんな僕でも、前作『カメラを止めるな!』のヒット後のプレッシャーは計り知れないものでした。本作『スペシャルアクターズ』のオファーは『カメ止め』の劇場公開前に受けましたが、物語がまったく書けない。どんな物語を作っても、『カメ止め』は超えられないだろうという思いばかりが募りました。大スランプに陥り、毎日、気絶しそうでしたね。

映画の制作手法は、「『カメ止め』と同じように」と決めました。有名な役者を使わずに、オーディションで無名の役者を選抜する。それは、「『カメ止め』の1本だけでは、スタンダードにならない」と考えたからです。ありがたいことに『カメ止め』では、多くの方から「無名の役者でもおもしろい映画が作れるんですね」との言葉をいただきました。でも、1本だけでは“マグレ当たり“で終わってしまいます。マグレと言わせないために、無名役者と大きくはない予算で2本目に挑むことにした、という理由もあるかもしれません。

1500人の応募者から、オーディションで15人を選びました。この時点で、物語の構想はまったくありませんでした。『カメ止め』のオーディションの時には、ストーリーの大枠がありましたが、今回はその大枠すらない。完全に白紙という状態でした。

映画の制作では、まず先に物語があって、それに合った役者を選ぶというキャスティングが一般的です。どう考えても、そのほうが安心ですからね。でも、僕は「映画では安心に寄り掛かることが危険だ」と思っています。安心な道を選ぶと、どうしても無難なものになってしまう。60点、70点のものを作ってしまうことが、クリエーターとしていちばん怖いんです。それなら0点のほうがマシ。危険を冒してでも、「そんなこと、本当にできんのかよ」と人に言わせることにチャレンジしたい。『カメ止め』でいうと、30分ワンカット撮影とか、チャレンジがないと、燃えません。

1/2ページ

最終更新:10/19(土) 16:21
GOETHE

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事