ここから本文です

散々なサッカー南北戦、なのに北を擁護の文在寅政権

10/19(土) 6:01配信

JBpress

 曺国問題で守勢に立たされた文在寅(ムン・ジェイン)大統領を襲う次の危機は、北朝鮮発になる可能性が濃厚となった。

昨年6月23日、2018FIFAロシアW杯の韓国・メキシコ戦キックオフ直前、国歌斉唱する文在寅大統領と金正淑夫人

 10月15日、平壌(ピョンヤン)で行われたサッカーの2022年ワールドカップ(W杯)のアジア2次予選「韓国vs.北朝鮮」の試合で見せてくれた北朝鮮の異常な態度が、米朝会談がうまくいかないことに対する苛立ちと、韓国の文政権に対する怒りを物語っているからだ。

■ スポーツを政治利用する卓抜した才能

 「記憶したくない」

 「無事に帰っただけでもありがたい」

 韓国が誇るストライカー・孫興民(ソン・フンミン。27歳、トッテナム・ホットスパー所属)選手が17日、平壌でのアウェー戦を終えて仁川(インチョン)空港で記者団に打ち明けた感想だ。韓国代表チームを率いた団長の口からは、「もはや戦争だった」という嘆きが漏れたほどだった。

 今年7月、2022W杯カタール大会のアジア2次予選の組抽選によって、韓国は、レバノン、北朝鮮、トルクメニスタン、スリランカとともにH組に入った。以降、8月3日、北朝鮮側が10月15日の韓国と北朝鮮とのホーム戦を平壌で開催するという意思をアジアサッカー連盟(AFC)に伝えると、韓国では1990年の親善試合以降、29年ぶりの南北サッカーAマッチが平壌で行われることに対する期待が高まっていった。そして、これはスポーツを政治利用することに卓越した才能を持っている文在寅政府を大きく鼓舞させることにもなった。

 南北(韓国と北朝鮮)間の経済交流が米国と国際社会の対北朝鮮制裁に阻まれ、膠着状態に陥っている中、文在寅政権は民間交流、特にスポーツ交流を通じて南北関係の進展を図ってきた。その努力が見事に光を放ったのは2018年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪だろう。文大統領がここで北朝鮮を国際外交舞台に引き出す役割をしたのは周知の通りだ。

 その目論見に沿うように、平昌五輪後、南北首脳会談と米朝首脳会談が相次いで行われ、文大統領は、「韓半島(朝鮮半島)問題の運転者」(北朝鮮核をめぐる問題において韓国が主導的な役割をしているという意味)を自任し、彼の支持率は70%台の後半に達した。

 しかし、今年2月のハノイ米朝首脳会談の決裂以降、状況は一変した。10月のストックホルムの米朝実務協議まで事実上決裂し、米朝関係が進展を見せていない状況で、文在寅大統領の差し出した手をやすやすと握ってくれる北朝鮮ではなかった。

■ 「世界で最も奇妙なダービー」

 8月以来、韓国サッカー協会は選手団の宿舎と練習場、移動方法などを数回にわたって北朝鮮側に問い合わせたが、北朝鮮はいつまでたっても応じようとせず、韓国側を苛立たせた。「予定通り平壌で試合を行う」との返答が来たのは、試合を20日後に控えた9月24日になってのことだった。ところが、その後から行われた実務協議では、韓国からの応援団派遣、取材団派遣要請を断り、韓国選手団が試合のほかに宿舎を出てはならないという条件まで付けてきた。選手団にはノートパソコンやタブレット、携帯電話はもちろん、本の持ち込みまで禁止された。

 あまりに非常識的な北朝鮮の態度に、韓国側では「FIFAに第3国の開催を要請しなければならない」という主張もなされたのだが、文在寅政権の顔色を伺わなければならない韓国サッカー協会としては何の決定も下すことができなかった。

 結局、10月13日、韓国代表チームは中国・北京を経て、3時間かけて北朝鮮・平壌の順安(スンアン)空港に到着。韓国チームは空港で自分の所持品をいちいち紙に書き出す形で荷物検査を受けなければならなかった。しかも書類に書かれた内容が間違えば、初めからまた書類を作成するなど、入国手続きにかかった時間はおよそ3時間。その後、韓国チームは時速50キロ以下のバスに乗って50分かけて記者会見場に到着、北朝鮮記者5人だけ(! )による記者会見に応じなければならなかった。その後は、8時25分頃から9時15分頃まで練習、やっと宿泊のホテルに着いて荷物を下ろしたのは9時半過ぎだった。

 そして15日、北朝鮮が誇る平壌の金日成(キム・イルソン)競技場で、いよいよ歴史的な(? )南北サッカーAマッチが行われたが、この試合は「世界で最も奇妙なダービー」(英国BBCの報道)になってしまった。

 試合直前の14日まで韓国のKBSと中継権を協議していた北朝鮮が、金額問題で折り合わなかったことから生中継を最終的に拒否、中継なしに試合が行われた。さらに驚愕した点は、競技場に入場客が一人もいなかったことだ。

 こうして歴史的な平壌試合は、無中継、無取材、無観衆の「3無試合」となり、外国メディアから、「幽霊試合」「世の中で一番秘密のワールドカップ予選」などの嘲弄を受けた。

 韓国メディアからの非難はもっと強かった。0-0で終わったこの日の試合の様子は、生中継はおろか、マレーシアのAFC本部を経て、伝達される簡略な「文字メッセージ」を通じて韓国に伝えられただけだった。韓国メディアは、この状況を「地獄」「悪夢」「恐怖」などの言葉を使って酷評した。

1/2ページ

最終更新:11/5(火) 19:25
JBpress

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事