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香港デモに猛反発する中国の若者、その「愛国萌え」現象を読み解く

10/19(土) 8:01配信

現代ビジネス

「お兄ちゃんをいじめないで!」

 「私達のお兄ちゃんは名門貴族の出身だったのに、途中で零落して周りからいじめられ、2人の娘が略奪された。自分一人、長年必死で努力したが、内外からは白い目で見られ、誰からも相手にされなかった。生活が少し良くなってまず望んだのは2人の娘を家に取り戻すことだった。だが思いもよらないことに、この悪い娘たちが敵を味方と取り違え、お兄ちゃんの心を傷つけた。お兄ちゃん、でも私たちがいるわ。私たちはずっとあなたが花道を歩けるようにするから!」

米中貿易戦争のウラで、習近平が焦る「借金バブル」のヤバすぎる実態

 中国のSNS、微博に8月14日に投稿された書き込みだ。

 書き込んだのは若い女性とみられ、添付した写真には涙を流す猫と「鳴啊啊 欧尼醤」の文字が書き込まれている。「鳴啊啊」は「ミャ~」という猫の鳴き声、そして「欧尼醤」は「オウニージャン」、つまり日本語の「お兄ちゃん」の音訳だ。そしてこの「お兄ちゃん」こそ、「中国」のことなのだ。

 投稿の日付や付けられたハッシュタグから、この書き込みは香港の民主化デモへの抗議活動と関係があるようだ。8月14日、香港の一部の芸能人が「香港警察を支持する」とインスタグラムで書き込み、これにデモ支持者からの批判が相次いだ。

 これに対し、中国国内の彼らのファンは、「翻牆(ネット規制の壁を乗り越える)」により、中国国内では禁止されているインスタグラムやフェイスブックに乗り込み、このようなコメントや中国国旗をアレンジした画像で埋め尽くした。

 「814飯団大団結」と呼ばれるこの活動に加わったネットユーザーは中国を「阿中哥哥」(中国お兄ちゃん)と呼び、祖国への熱愛と支持を表明したのだ。

 このように中国の若者ネットユーザー、特に「欧尼醤」のように日本の漫画やアニメを好む女性の間で、中国を理想の「お兄ちゃん」としてアイドル化し崇拝する現象、いわば「愛国萌え」が広がっている。

 そしてこの「愛国萌え」する若者、特に女性のことを、中国では「飯圏女孩」(ファン女子)と呼ばれているが、この言葉の意味については後述する。

 冒頭での書き込みは、この「中国お兄ちゃん」が歩んだ苦難の道として、人民日報など中国メディアが作り上げた物語をなぞったものだ。

 この物語とは、もともとは名門の出身、つまり中国がかつて唐、宋、明、清などの時代、世界最大の王朝だったが、19世紀半ばから欧米列強や日本により植民地化、侵略を受け、香港や台湾などの「娘」を奪われた。

 中国は苦労の末、世界第2の経済大国となったが、香港や台湾が米英など西側勢力を味方と取り違え、親である中国兄さんに歯向かっている、という見立てである(もちろんここには文化大革命や天安門事件など負の歴史は出てこない)。

 「人民日報」は微信で、「この若者が世界を驚かせた」との題で、擬人化された中国が苦労の末、今日の発展を遂げるまでを漫画で描いている。

 若者たちが国を「お兄さん」と呼び、愛国の強い感情を抱くようになったのはなぜか。元大学教員の中国人の友人は、アイドルを追いかけるファンの心理が巧みに愛国心へと吸い上げられたとして、次のように語っている。

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最終更新:10/20(日) 12:05
現代ビジネス

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