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【出口治明との質疑応答3】出口さん、「数学」が人類に与えた影響を教えてください

10/19(土) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。
その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著が、なんと大手書店のベストセラーとなり、話題となっている。BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ=ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説した本だ。なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか?
脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、某有名書店員が激賞する『哲学と宗教全史』が、発売後たちまち第4刷が決まり、「日経新聞」にも大きく掲載された。
9月7日土曜14時、東京・八重洲ブックセンターに約80名が集結。満員御礼の出版記念講演会につづき行われた質疑応答が盛り上がった。今回からは普段、めったに明かされない出口学長と会場のみなさんとの「白熱の質疑応答」を特別にお届けしよう。

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● 数学が人類に与える影響とは?

 出口 次の方、どうぞ。

 ――哲学と宗教はまったく勉強できていなかった分野だったので、今日のお話をきっかけにやっていきたいと思っています。
 一方で私は、出口さんが大学時代に受けた、人を知る、世界を知る感覚を、数学を通じて意識しました。

 出口 なんでもそうですね。

 ――出口さんにもぜひ数学について考えていることや、数学が人類や社会に及ぼしたものについて感じていることを聞かせてもらえたらいいなと思います。

 出口 数学はAI(人工知能)を考えるうえで、ものすごいヒントを与えてくれます。
 AIは、コンピュータ、つまり、0か1かの世界です。
 でも、人間が考えることや社会で起こっていることは、グレーの部分が山ほどあり、0か1かで説明できないと考えがちです。

 でも、「0か1か」を「積分の考え方」で無限に細かくして面積を求めていけば、どんな曲線でも表現できるという考え方も成り立つ。

 どんどん細かくしていけば、ひょっとしたら人間の感情やグレーな部分も全部AIで説明できるという考え方も成り立ちます。

 物事を考えるときに、「積分的な考え方(関数を使って囲まれた部分の面積を求めること)」や「微分的な考え方(積分の反対で、関数の変化の割合を求めること)」はものすごく大切です。

 今回の講演会の中で「星の観察」という話をしましたが、人間の観察力は、3段階、4段階くらいに分けて進歩してきました。

 最初は目です。
 おそらく世界最古の哲学者といわれるタレス(BC624頃‐BC546頃)は、視力がよかったと思います。目が悪かったら星の観察はできないと思いますから。

 次に、裸眼で観察しても限界があるので、望遠鏡や顕微鏡を活用する時代に入る。つまり、目だけではなく機械を使って観察するのが第2段階です。

 第3段階になると、観察に加え「実験」が入ってくる。

 みなさんも、小中学校で、ビーカーに薬品を入れたらこうなるよと、やったことがあるでしょう。リトマス試験紙に触れるとこんな色になるよと。
 目で見て、機械で見て、実験に移る。

 そして第4段階はコンピュータ(数学)によるシミュレーションです。

 だから人間の観察や自然を理解する方法は、4段階に分けられる。

 最初は目で一所懸命に見る。さらに顕微鏡でもっと細かく見る。さらに実験してみる。最後にコンピュータ(数学)を使ってシミュレーションをしてみるのです。
 数学は大事でしょう?

 それぐらいでよろしいですか。

 ――ありがとうございます。

 (つづく)

出口治明

最終更新:10/19(土) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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