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情熱大陸で特集! 松山智一という、アメリカでいちばん有名な壁にパブリックアートを描いた日本人

10/20(日) 20:44配信

GQ JAPAN

ニューヨーク在住の美術家である松山智一さんが9月、アメリカで最も有名な壁に壁画作品を描いた。こう書いても、ピンとくる方はそれほど多くはないだろう。なぜなら、2002年に25歳でアメリカに渡った松山智一というアーティストは、日本では目立った活動をしていないからだ。日本人(だけ)が知らない、現代美術界の気鋭アーティストをここに紹介する。10月上旬に10数点のペインティング作品をもって来日した彼をインタビューした。

【圧巻のNYの壁画と作成風景。松山智一の作品を見る!】

キース・ヘリング、JR、バンクシー、そしてマツヤマ

ニューヨークのソーホーからほど近い場所に “レガシィ”とも称される壁がある。横幅約26メートル、高さ約6メートルの「バワリーミューラル」と呼ばれるパブリックアートが描かれた壁だ。この壁に9月24日、日本人アーティストの松山智一さんが新たな壁画を完成させた。9月11日から14日間で描いたという。壁には彼が得意とする色とりどりのペインティングが隅々まで広がっている。

1982年にキース・ヘリングが描いたことで一躍有名になったこのバワリーミューラルにはこれまで、JRやバンクシーといった20余名の超一流のアーティストが作品を発表してきた。松山さんも錚々たる顔ぶれと肩を並べたわけだが、このオファーがあった時にはどんな感情が湧いたのだろう。

「ニューヨークの魅力のひとつは、永久に片思いの街だということです。何年いても冷たくて、だからからこそ認められたくて居続けるわけです。1980年代にキース・ヘリングが描いた壁が10年前に復活しました。有名ギャラリストのジェフリー・ダイチ氏がキュレーターを務め、デベロッパーのトニー・ゴールドマン氏とともに作家が選ばれてきました。そこで声がかかるというのは、17年片思いだった僕が初めてニューヨークの文化の1ページに加わることが出来る感覚で。だから“描く”と即答の返事をしました。声をかけていただいたときにはやはり嬉しかったですね」

松山さんによれば、ニューヨークのアーティストならだれもが、「もしあの壁に自分が描くなら……」ということを考えたことがあると思うそうだ。では、幅26メートル×高さ6メートルという大作をたった14日で仕上げるにあたって、どういう作品にしたかったのだろうか。

「ああいう壁画、ウォールというのはマッチョな世界なんです。アメリカンな感じといってもいいけれど、スプレー缶のみを持って来て、スケッチもなしにひとりで書き切るぞ、という大味な気持ちといいますか。スラッガー、メジャーリーグの4番打者みたいな感じです。スポーツにたとえるのは必ずしも正しくはないけれど、あれを日本人が同じ感覚でやろうとしても無理があるんですよ。そこで僕は、マッチョな世界の力比べみたいなやり方だけじゃない別の方法で、ぐうの音も出ないようなものをやってやろうとした。ニューヨークで17年活動してきた自信もあったので、敷居を上げてやろうと思ったんです」

では、松山さんがとった具体的な表現方法はどういうものだったのか?

「鬼のド根性の手数です(笑)。本当に“根性描き”でした。スプレー缶でダーってやれば身体性が高い表現になるから見る人は『ウォー!』って盛り上がるんですね。僕はそれをクリアしながら、同時に30センチの近距離で見ても成立する作品にするためにさらに細かい手作業に徹底した。職人技でスタジアムをつくってやろうと思ったんですよ。30センチの近距離で見ても、300メートル離れて見ても成立するアプローチにしようと考えました。それさえできれば自分が求めていた結果が得られると同時に、ニューヨークの文化に貢献できると思ったんです」

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最終更新:10/20(日) 20:44
GQ JAPAN

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