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ラグビーW杯ベスト4ならず……日本代表の熱き戦い、なぜ「多文化共生」は成功したのか

10/20(日) 21:51配信

文春オンライン

リーチマイケルによる「君が代」講座も

 歌という点では国歌「君が代」も、チームをひとつにするための大きな役割を担っているという。

「今回のW杯前にはリーチが音頭をとって、『君が代』の歌詞の意味を選手に教える講座が開かれました。さらに7月の宮崎合宿の打ち上げ後、“さざれ石”の見学にも行っています。その後のパシフィック・ネーションズカップでは、国歌斉唱で涙を流す外国出身選手の姿も見られました」(スポーツ紙記者)

 ピーター・ラブスカフニ(30)はW杯直前の壮行試合に際し、歌詞の一部を引いてこう語っている。

「小さな石が大きな岩になる。まさに私たちがやろうとしていること。一つになってゴールに向かっていく」

ミスの原因を掘り下げる文化が少なかった日本

 南アフリカ出身で来日4年目のラブスカフニは日本語がまだ不得意だが、アイルランド戦、サモア戦でリーチに代わってゲームキャプテンを務めるなど、チーム内での信頼も厚い。

「日本代表の練習が休みのとき、わざわざ所属のクボタに戻って、スタッフ一人ひとりに挨拶をしていたそうです。またチームの練習中は邪魔にならないようにずっと外周を走るなど、仲間からも人格者として認められています」(スポーツライター・多羅正崇氏)

 こうした取り組みによって一体となる日本代表だが、前出の村上氏は「今の日本ラグビーを体現しているのは、リーチとトンプソン・ルークです」と語る。

「2人は日本人の勤勉さ、優しさをよく理解しながら、外国人の強さやセオリーを知っている。何より日本代表であることに誇りを持っているのです」(同前)

『国境を越えたスクラム』 (中央公論新社)を執筆したノンフィクションライターの山川徹氏は、リーチについてこう解説する。

「5年前に主将に就任した時、日本人はミスをしても『どんまいどんまい、次がんばろう』と、その原因や失敗の本質を掘り下げる文化が少ないと感じた。逆に出身のNZではそこで深く掘り下げ、ミスの原因を互いに指摘し合い練習する。悪い意味で日本人らしくならず、厳しさとか掘り下げる姿勢を失わないようにしたいと話していた。多文化共生という意味ではとても良い姿勢で、様々なルーツの選手が個性やラグビー観をぶつけ合うことが代表のプラスになっています」

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最終更新:11/27(水) 20:33
文春オンライン

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