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ラグビーW杯ベスト4ならず……日本代表の熱き戦い、なぜ「多文化共生」は成功したのか

10/20(日) 21:51配信

文春オンライン

日本に帰化したルーク、恩返しを誓う具智元

 一方のルークは4大会連続でW杯出場を果たした、チーム最年長の38歳。

「2007年大会はNZ国籍での出場でしたが、2010年に日本に帰化しました。『日本との関係は、子どもや家族のライフになっている。だから僕は日本人として戦いたいと思った』と語っています。引退するという噂もありましたが、復帰して日の丸を背負うということは、僕らからはうかがい知れない熱い情熱を持っているはずです」(同前)

 日本への恩返しを胸に戦う選手もいる。韓国出身の具智元(25)はその1人。日本文理大附属高で指導した染矢勝義氏はこう語る。

「ご両親の、いい環境でラグビーをしてほしいという思いもあり、中学3年生の時に来日しました。お父さんは元韓国代表でアジア最強プロップとも言われましたが、W杯に出たことがなかった。ですから智元は『日本代表になってW杯に出る』と語っていました」

 その夢は、U-17の日本代表に招集されたことから現実味を帯びていく。

「韓国代表になるという選択肢はなかったみたいですね。お父さんが『今までお前を育ててくれた日本のラグビーにまずは恩返しすることが一番大事なことなんだ』と言ったそうです。韓国からも智元に『頑張れ』という声がたくさん届いているようです」(同前)

日本から海外へいく選手も

 最近では、日本から海外へいく選手も増えてきている。サモア戦で貴重なトライを挙げた松島幸太朗(26)はその代表例だと言える。

「松島は高卒後、南アに渡り、U-20の候補にも選ばれました。日本に帰国した後も豪州などでプレーをしていますが、そうした選手は今までいなかった。彼はジンバブエや南アにルーツを持ちますが、今後は様々なルーツを持つ日本人が海外で活躍する例も増えるでしょう」(前出・山川氏)

 こうした多種多様な背景を持つ選手を受け入れる土壌を持っているのも、ラグビーという競技の特質だ。

「体格や特徴が異なる選手たちが集まって、それぞれの個性を認め合い、強みとして生かして戦っていく。そうした多様性を持つ宥和的なカルチャーが、他のスポーツよりも根付いているのだと思います」(同前)

 多文化共生の理解へのヒントは、桜のジャージに詰まっている。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年10月17日号

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最終更新:11/27(水) 20:33
文春オンライン

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