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ラグビー日本、「ダイバーシティ精神」見せてくれた

10/21(月) 14:41配信

オルタナ

第9回ラグビー・ワールドカップ準々決勝で、日本は南アフリカに3-26で敗れたものの、1次リーグは4連勝で突破した。10年前に日本開催が決まり、「開催国としてせめての1勝ができるだろうか」と心配していた時に比べると、日本代表は大いなる成長を遂げた。(坂本優・関東ラグビーフットボール協会理事=オルタナオンラインで「私たちに身近な生物多様性」寄稿中)

2019年9月20日、日本大会は目の前の現実となり、東京スタジアムで君が代を歌い、開幕戦開始のカウントダウンの声を張り上げている私がいた。そして、これは本当に現実なのかと思う間もなく試合は進み、日本は開幕戦を勝利で飾った。

初戦のロシア戦前半こそ硬さが見られたものの、パワー、スピードとも見違えるように逞しく鍛え上げられたジャパンは順調に勝利を重ねた。ただの一つとして勝ちを楽観できる試合のない中、ロシア戦に続き、直前まで世界一にランクされていたアイルランドにも勝利。試合後は嗚咽をこらえることができなかった。

夜、もう一度テレビで試合を見ると、網をかけるように連携し当たり負けしていないデフェンス、パワフルな突進、確実なキックと、堂々の勝利に改めてこみあげてくるものがあった。

終了間際にボーナス点をもぎとったサモア戦、中止・引き分けも想定されるなか、多くの人々の献身的努力で開催にこぎつけるや、芸術的なトライを重ね、台風の被災地含む全国に朗報をもたらしたスコットランド戦。試合のたびに勝利の雄叫びをあげ、涙した。日本は4戦全勝で一次リーグを突破し、世界の8強による決勝トーナメントに初めて進出した。

勝利の感動は、敬服すべき敗者があってこそもたらされる。ワールドカップは、普段、忘れがちなこの事実を再認識させてくれた。全力で戦い敗れた後は、潔く敗北を認めて勝者を讃たえ、勝者もまた敗者に敬意をもって接する。

観客もまた両者に拍手を惜しまない。ワールドカップの各試合を通じて当たり前のこととして示さているこれらのシーン、スタジアムを包む一体感は「ノーサイド精神」と一言で言われる。

ラグビーでは「試合が終われば敵味方はない」ということで試合終了を「ノーサイド」というが、「ノーサイドの精神」は決して無から生まれるものではない。自らや仲間に対する信頼、相手チームに対する信頼、レフリーに対する信頼、運営者に対する信頼。そして信頼とルールに基づく服従と結果の受容。これらの一角でも崩れたらノーサイドの精神は成り立たない。

10月20日、東京スタジアムで行われた決勝トーナメント1回戦(準々決勝)でジャパンは強豪南アフリカの前に、ノートライで敗れた。前半を3-5の接戦で折り返すも、後半突き放され3-26で敗退した。勝利の時と異なり、ノーサイドの瞬間、私自身に涙はなかった。

試合時間の80分を過ぎ、あとワンプレーで試合終了となるタイミングで、南アフリカは更なるトライを挙げるべくボールを左右に振って容赦ない突進を繰り返した。

それはジャパンの力を認めるからこそと見て取れた。それを緊張の糸を切らすことなく守り切ったジャパンは、最後まで敬服すべき敗者だった。

戦い終えた両チームへの惜しみない拍手、戦い終えた戦士たちの柔らかな表情。愛児を肩車するリーチ主将の、ファンと家族、仲間たちへの感謝のこもった笑顔。それらの光景を見ているうちに私の涙腺はやはり崩れてしまった。感動をありがとう。

ジャパンの活躍は様々なルーツの選手たち一人ひとりの最大限の努力と、それらが一体となった組織力、総合力なしにはなし得なかった。もとより選手たちがワールドラグビーのルールにそって選出されていることは言うまでもない。

今回、日本代表として出場した外国籍あるいは帰化選手たちは、皆、日本で夢をかなえるべく、長年にわたって自らのラグビー人生をかけて努力し、日本ラグビーに貢献してきた。文字通り、ジャパンのかけがえのない仲間たちだ。彼らの力もあってこそ、日本ラグビーは世界を驚かす進化を遂げた。

そして、ファンや多くの人々が、様々なルーツの選手たちが「日本代表」として戦う姿に感動し受け入れ、応援していた。7つの国籍の選手たちがつくった「ONE TEAM」。それはラグビーを通じた、まさにダイバーシティの実践ではないか。

ワールドカップは準決勝、3位決定戦、決勝とまだまだ続く。私たちは世界最高レベルのラグビーを最後まで応援し堪能することで、この世界有数のスポーツの祭典の成功という、国際社会への貢献を成し遂げることができる。それはまた、ジャパンの選手・スタッフの健闘と努力に応え、活かすことでもある。

◆坂本 優
生きものコラムニスト
1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(趣味ラグビー 関東ラグビー協会理事)

最終更新:10/21(月) 14:46
オルタナ

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