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都築響一さんに訊く──サブスク時代に着倒れはあるのか

10/21(月) 8:11配信

GQ JAPAN

洋服に人生を捧げるように暮らす─。そんな“ファッション命“の人々を取材してきた都築響一さんは、現在のファッション界をどのように見ているのか?1970年代からユースカルチャーの変遷を見てきた氏が、率直に語った。

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都築響一さんは著書『着倒れ方丈記 HAPPY VICTIMS』で、愛するデザイナーやブランドの洋服に埋もれるように暮らす人々を取材している。これは『流行通信』誌の連載をまとめたもので、2008年11月に出版された。刊行から10年以上が経ち、定額制の洋服レンタルサービスやメルカリなどの携帯アプリで気軽に洋服を売買すること、あるいはインスタグラムを使ったインフルエンサーが大きな影響力を持つようになるなど、デジタル技術の進化とともに、ファッションを取り巻く環境は少しずつ変化している。洋服に取り憑かれた人々を見てきた都築さんは、ファッション界のいまの状況をどのように考えているのだろうか。

インスタ映え

「洋服の定額レンタルねぇ……、実際に使っている人はいますか? バッグならともかく、いないでしょう。多分そのサービスをやってる人も、だれかが着た服なんて着たくないと思っているはずなのに、でもそういうビジネスをやらざるを得ない。それだけファッション界が困っているってことだと思うんですよ、僕は」

いわゆる“インスタ映え“を意識したかのような、ブランドの大きなロゴについても都築さんは否定的だ。

「ブランド名がわかるってことですよね。でも描かなきゃわからないほど、デザインがないのかってことでもあります。デザインで勝負していないのは、やっぱりおかしいと思いますね」

『着倒れ方丈記』の連載中に、都築さんはとあるブランドから「そういうビンボー臭い紹介の仕方はやめてくれ」と抗議を幾度となく受けたという。

「デザイナー自身は喜ぶんですよ。自分が作ったものを身銭を切って着てくれる人を見たら、そりゃ喜びますよ。でも周りの人たちですよね。訴えるとか言われたもんね(笑)。訴えてみろって感じですけど。昔だってブランドは利益至上だったんだけど、最近は大きな会社がいくつものブランドをコントロールするようになって、すぐに結果が求められるようになったのかな。でも本当のブランドって、長く一緒にお付き合いしましょうと顧客を育てるものですよね。おじいちゃんもお父さんも旅行ではこのブランドのカバンを使ってたから僕もこれです、というように」

その一方で、いい洋服を着たい人もたくさんいるはずだと続けた。

「たとえば10万円の靴を買うよりも、10万円で自分の足に合った靴を作ってもらうほうが格好いいですよね。ジャケットだって同じで、そういうことが国内でできるようになっている。少量だけど誠実に作っている、ブランドとはいえない規模の作り手がメンズにもあって、レディースにはもっとたくさんあって、そういう作り手が人気なんですよ」

つまりファッションが死んだのではなく、いわゆる「ファッション・ビジネス」が終わったということなのだろうか。

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最終更新:10/21(月) 8:11
GQ JAPAN

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