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リブラに強い警戒感を示したG20

10/21(月) 8:52配信

NRI研究員の時事解説

「あらゆる政策手段を動員」というものの

筆者も参加した国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会及びその関連会議に合わせて、10月17日、18日(米国時間)の2日間、ワシントンでG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)が開かれた。主な議題は、世界経済減速への対応、デジタル課税、リブラへの対応の3点だ。これらいずれについても、予想外に議論の進展が見られた、ということはなかった。

第1に、世界経済については、各国から下振れリスクの指摘が相次いだとされるが、具体的な協調策がまとめられることはなかった。しかし、これは全く予想通りのことだ。実際に世界経済が深刻な後退局面に陥るようなことがない限り、G20で具体的な政策対応が議論されるような危機感は醸成されないだろう。閉会後に「持続可能でバランスのとれた経済成長を実現するために、あらゆる政策手段を動員する」との認識が示されたが、具体策はない。そもそもG20は、景気悪化に対して予防的な措置を決める枠組みとしては機能しないのではないか。

さらに、世界経済にとって、現在大きな下方リスクとなっている米中貿易戦争、ブレグジットについては、ともに政治的な要素で決まるものであり、経済当局が経済への悪影響を予見して、予防的措置を講じること自体が難しい。

デジタル課税は今後もOECDで議論

第2に、デジタル課税については、G20議長国の日本が6月の大阪サミットで大きなテーマとして取り上げたものだ。グローバルに活動するプラットフォーマーが本社機能や主要設備などを低課税国に置くことで、節税効果を挙げていることへの対応が議論されてきた。各国から示された案を調整することで、経済協力開発機構(OECD)が10月19日に原案をまとめ上げた。その原案がG20で議論されたのである。

デジタル課税の議論は昨年EU(欧州連合)レベルでの議論がまとまらず、決裂した経緯がある。その後OECDが、欧州と米国との意見の相違を踏まえ、いわば折衷案としてまとめ上げたのがこの原案だ。今までのOECDでの議論の進展は予想以上であり、まさに目を見張るものがあった。

今回のG20で発表されたプレスリリースでは、「我々は、2020年末までに取りまとめられる最終報告書によるコンセンサスに基づく解決策に向けた全面的な支援を再確認する」、「OECDに対してサウジアラビア議長国下における2020年2月の次回会合において作業の進捗状況を報告することを求める」と述べられている。

G20で、デジタル課税で具体的な議論の進展があった、あるいは各国間での調整が進んだ、ということではないのだろう。デジタル課税の議論は、今後もOECD主導で粛々と進められていくだろう。

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最終更新:10/21(月) 11:16
NRI研究員の時事解説

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