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【ヒットの法則30】1200kmのロングツーリングで味わったE90型BMW3シリーズの万能性

10/21(月) 18:30配信

Webモーターマガジン

意味のあるオプション品、ベースは基本機能の高さ

日本上陸直前にスペインで行われた5代目E90型BMW 3シリーズの試乗会で、すでに新しい330iのテストドライブを経験していた、こもだきよし氏は2005年4月には上陸したばかりの新型3シリーズのハンドルをあらためて握り、約1200kmにわたってじっくりと日本の道を走っている。日本での試乗ではどんな印象を持ったのか、その模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年6月号より)

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モデルチェンジといっても、ちょっと目先を変えただけのクルマも多い。そんな中で、すべてが新しくなっているだけでなく、ここまでお金を掛けて開発するのかと驚かされたのが、新型のBMW3シリーズセダンだ。

ヨーロッパで走り出して間もないその新型3シリーズが早々に日本へ上陸。そこで330iと320iを連れ出し、途中でメルセデス・ベンツCクラス、アウディA4というライバル達と合流しながら、東京~名古屋~京都~岐阜~諏訪~東京と周回する2泊3日のテストドライブへと出掛けてみた。

初日の夕方、東京・新橋にある編集部を出発。ボクは2年ほど前から「デイタイムランニングライト(DRL)」を実践している。日中でもヘッドライトのロービームを点けていると他のクルマからよく視認されて、レーンチェンジや信号のない交差点などで不意に近寄ってくるクルマが少なくなった。そんな経験から安全のためにDRLを続けている。330iは標準装備、320iにはオプションの「バイキセノンヘッドライト」は、ハロゲンライトより消費電力が少ないから、DRLでも燃費への影響が少ないのはありがたい。

初日の宿泊地に設定された名古屋へと向かう途中、東名高速・厚木ICから小田原厚木道路、西湘バイパス、箱根ターンパイクを通り、箱根を抜ける。陽が沈んだ芦ノ湖スカイラインのワインディングロードを、東名高速の御殿場ICへと走る。この時には、ライトスイッチを左に捻り「AUTO」モードにした。330iに装備されているオプションの「アダプティブヘッドライト」の効果を試すためだ。

コーナーの入り口でハンドルを切り込んでいくと、ヘッドライトは見事にこれから向かう道路を照らしてくれる。ハンドル角だけでなく、クルマのスピード、横G、ヨーレートをセンシングしながら、カーブ外側のヘッドライトは最大8度、内側は最大15度向きを変えて、路面を照らしてくれる。

この時間は、走っているクルマも少ないので、先行車も対向車もいなければハイビームで走る。バイキセノンヘッドライトはハイビーム時もキセノンライトなので明るい。さらにアダプティブヘッドライトは、ハイビームの時でも向きを変えてくれるから空いた道ではとても有効だ。

ハイビームで走行中、アダプティブ機能によってヘッドライトの向きが変わった時、正面にちょっと黄みがかった光が見えることがある。これは4灯内側のパッシング用ハロゲンライトの光だ。パッシング時に点く内側のヘッドライトはハイビーム時にも点灯するので、キセノンライトの照射範囲が左右に動くと、内側のハロゲンライトの光が見えるのだ。

BMW車のAUTOモードは、日本の標準的なオートライトと比べると、まだ日が明るいうちから点く傾向がある。これは、日本とドイツのヘッドライト点灯の基準が違うからだ。ドイツではヘッドライトをなるべく点けることが標準になる。それに対して日本はなるべく消していて、相当に暗くなったら点けるのが基準だ。

そして、一度点くとなかなかオフにならないのもドイツ流だ。AUTOにした時、明るくても点灯する「ドイツ流」がいやならば、iDriveコントローラーの設定メニューでその感度を日本流に変えることも可能になっている。

このワインディングロードで、6気筒モデルにオプション設定されている「アクティブステアリグ」の有難みを再認識した。そのメリットは、バリアブルギアレシオによるもので、通常よりもハンドルの操作角が小さくて済む。手と腕の動きが少なくて済む分、すごく楽になるのだ。奥に入るとさらに回り込んでいるようなコーナーでも、そのまま操舵角を増やしていけば間に合う。だがこれも、基本的な操縦性能が高く、舵角に比例したヨーを出せるからこそできることだ。

スペインでの試乗会で乗った時と同様に、日本で乗ってもアクティブステアリングは良かった。直進付近での過敏さがないから、初めて乗ったとしても違和感がない。5シリーズのような「慣れ」を必要としないのだ。高速道路では、どっしりと安定している。そして一般道では、ハンドルを深く切り込んでいくとより大きく向きを変えてくれるから、楽に走れる。

さらにこれは、スピードの低い市街地走行時にも重宝する。車庫入れなどパーキングスピードでは手の動きよりタイヤが大きく切れる感じだから、駐車がうまくできるようになるドライバーも多いことだろう。
御殿場ICから一路、東名高速を名古屋へと向かう。トラックが多い。トラックがトラックを抜くために追い越し車線まで出てくるのでペースが落ちる。ドイツのアウトバーンでは、トラックレーンを走る重量級のトレーラーの後ろに他のトラックが続き、トラックレーンから出てくることはない。日本ではまだまだルールが確立されていないと思った。

追い越し車線の行く手を遮っていたトラックが走行車線に戻ったところで、アクセルペダルを踏み込む。330iでは、大してアクセルペダルを踏み込まなくても胸のすくような加速が期待できる。3シリーズのボディに300Nmのトルクは、さすがに太いことを実感させられる。

同じ場面で2L 4気筒の320iはどうか。もちろん330iと同じというわけにはいかないが、ボクは320iの加速力でも実用上、十分だと思った。2Lの4気筒ということでは先代の318iと同じだが、N46B20AからN46B20Bへと新しくなったエンジンは、200Nmという最大トルクは変わらないが、その発生回転数が3750rpmから3600rpmへと低くなっている。最高出力も105kW/6000rpmから110kW/6200rpmになり、より低回転域でトルクが増し、高回転までよく伸びるエンジンに熟成されている。

この加速感を味わってから「318i」でなく「320i」というネーミングとなったことに納得した。4気筒エンジンによる軽快なレスポンスは、6気筒とは別の意味で気持ちがいい。

330iと320iを乗り換えながら走った時に、メーターの違いを発見した。330iは右側のタコメーターの一番外側に、5シリーズと同じくゼブラゾーンが変化するリングがある。水温が低い時にはこのゼブラゾーンが回転数の低いところ(おそらく4000か4500rpm)まで下がってくるタイプだ。これが320iにはない。320iに水温計はないから、オーバーヒート気味となった時にはオンボードコンピュータから計器盤中央に警告が出るが、低い時には出ないということになる。停まったままの暖機運転は推奨されていないし、エンジンが温まるのも早いから問題はないのだろう。

スピードメーターも同じように周囲に細い溝がある330iと、溝のない320iという違いがある。330iにはオプションのアクティブクルーズコントロール(ACC)が装備されていたが、ステアリングコラム左下のレバースイッチを操作すると、指示されたスピードがアナログのスピードメーター縁の溝部に白いマークで表示される。この時には計器盤中央の窓にもデジタルでスピードが表示されると同時に、先行車をキャッチしたかどうかのクルマのマーク、そして4段階選べる車間距離のマークが表示される。320iにオプションのクルーズコントロールのスピードは計器盤中央の窓にデジタル表示される。

到着した名古屋では、タワー式の駐車場への挑戦も行った。そして、530iが入らなかったタワーパーキングでも、330iと320iは余裕を持って入れた。3シリーズの全幅は車検証上で1815mmだが、これは最も出っ張っているフロントドアハンドルでの値。左右タイヤの外側の寸法は先代3シリーズより30mm程度広がっただけなので、その駐車場のパレットへ乗るのには問題なかったのだ。

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最終更新:10/21(月) 18:30
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