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石油関連の銘柄はPBR1倍以下でなぜか「割安」、だが今後は......

10/21(月) 17:27配信

ニューズウィーク日本版

<企業のビジョンは投資の判断材料になるか? 実はビジョンは、長期的な期待だけでなく、目先の株価に大きく関係することもある。日本の石油関連銘柄から見えてくるその理由とは>

石油関連は本当に「割安」なのか?

日本の株式相場で「石油関連銘柄」といえば、鉱業業種の国際石油開発帝石<1605>、石油資源開発<1662>、石油・石炭業種のJXTGホールディングス<5020>、出光興産<5019>、コスモエネルギーホールディングス<5021>などが主に挙げられる。

2019年9月末の時点で、これら石油関連にはPBR(株価純資産倍率=時価総額÷純資産)が1倍を下回っている銘柄が多く、ここに挙げた代表的な銘柄も全てPBRは1倍に達していない。

これによって、石油関連はしばしば「割安」と見られ、買われるケースがある。しかし、今後はそんな買い余地もなくなるかもしれない。

■世界の資源大手が続々と「脱炭素化」

8月、こんなニュースが経済メディアを賑わせた。

「イギリス、オーストラリアの資源大手・BHPグループが石炭事業売却の検討を始めた」
「イギリス、オランダの資源大手であるロイヤル・ダッチ・シェルが機関投資家からの評価を意識し、脱炭素化をより加速した」

BHPは世界最大の鉱業企業、ロイヤル・ダッチ・シェルは石油メジャーの一角とあって、両社の脱炭素推進ニュースは世界の投資家に小さくない心理的インパクトを与えた。

脱炭素化の背景に「ESG」あり

二酸化炭素(CO2)の排出を抑制しようとする動きは、いまや世界中のあらゆる場面で議論されるトピックであり、投資の世界では「ESG投資」という考え方と併せて語られることが多い。

ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)、それぞれの頭文字を合わせた単語。そしてESG投資とは、投資先を選ぶうえでこれら3要素に関する企業の取り組み姿勢も評価に加えようというものだ。

■投資家が地球環境に配慮すべき理由

これら3要素のうちのE(環境)の軸において、「CO2の大量排出につながる化石燃料を扱う企業には投資しない」という動きが、海外の機関投資家を中心に広がっている。

この脱炭素投資スタイルには、地球環境への配慮に運用方針をフィットさせるという倫理的側面がもちろんあるが、化石燃料需要の縮小に伴う関連資産の価値低下と、それがもたらす減損損失や株価下落を回避しようという経済的側面もある。

こうした側面を背景に、投資の世界では単なるCSR(企業の社会的責任)目的にとどまらず、投資リターン拡大の手段としてESG投資が本格的に導入されてきているのだ。

化石燃料の需要縮小、機関投資家からの投資手控え、そしてグローバル大手の撤退が並列して進む中、冒頭に挙げた国内の石油関連大手は、今後どのような方針を示すのだろうか。

■引くか、攻めるか――分かれる「将来のビジョン」

世界的な流れを考えれば、油田開発や石油の精製・販売に依存している限り、長期的に収益を上げ続けるのは非常に難しいと考えられる。要するに、国内石油関連企業の経営にも「脱炭素」が求められている。

●JXTGホールディングス<5020>

石油・石炭最大手のJXTGホールディングスは企業の将来像として、石油・ガス開発ビジネスや石油精製・販売ビジネスの収益割合を徐々に引き下げ、洋上風力発電や地熱発電、リサイクルビジネスといった石油非関連収益を伸ばす方針を明確に開示している。

●国際石油開発帝石<1605>

それに対して、鉱業最大手の国際石油開発帝石は、石油関連ビジネスに対して強気な方針を維持している。

同社は中期経営計画で石油・天然ガス上流事業への積極的な投資計画を掲げており、生産量も大幅に増やす考えだ。2040年のビジョンとして「国際大手石油会社トップ10入り」も狙っており、依然として化石燃料頼みのビジネスモデルを維持する姿勢だ。

同じ「石油関連銘柄」に分類される企業でも、現時点における将来の展望には大きな違いがあることがわかる。関連銘柄だからといって、ひとくくりにして捉えないほうがいいだろう。

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最終更新:10/21(月) 18:50
ニューズウィーク日本版

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