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帝国ホテルが京都進出、激戦区で「高級路線」は奏功するか

10/21(月) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 10月9日、帝国ホテルが日本有数の花街である京都・祇園地区の中心にある伝統建築物「弥栄会館」に進出すると発表した。競合が激しく供給過剰が懸念される京都のホテル市場に、独自路線で一石を投じられるのか。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

● 「懸念材料はない」と 国内資本ホテルは楽観的

 東京の帝国ホテルが京都への進出を計画している。大阪への進出以来、23年ぶりの新ホテルの立ち上げとなる。

 今回、帝国ホテルは一からホテルを建設するのではなく、芸妓・舞妓による舞踊公演「都をどり」の会場として京都では有名な祇園甲部歌舞練場(2016年から耐震改修中)と同じ敷地内にある「弥栄会館」を借り、リニューアルするかたちだ。

 弥栄会館は、1936年竣工の和風意匠を織り込んだ建物で、国の登録有形文化財だ。地上5階、地下1階の鉄骨鉄筋コンクリート造り。土地は学校法人八坂女紅場学園が所有しており、帝国ホテルが建物を改修してホテル運営を担う。オープン時期は未定だが、数年内と見られる。

 地元のホテル関係者は、帝国ホテルの進出をどう受け止めているのか。

 国内資本のシティホテル幹部は、「我々より室数を抑えて高単価設定するだろうから懸念材料はない。一流ホテルの参入は京都にとって大変良いことだ」と楽観的で、歓迎するムードすらある。

● 帝国ホテルが目指すのは スモールラグジュアリー

 ホテルの種類は大まかに分けると、ビジネスホテルなどの「宿泊特化型ホテル」(宿泊費が1泊数千円から1万円程度)、結婚式場などの機能がある「シティホテル」(1万円程度から数万円)、部屋が広く最高級の「ラグジュアリーホテル」(数万円から10万円以上)がある。

 帝国ホテルの広報担当者によれば、京都では「スモールラグジュアリー」路線を計画しているという。小規模かつ最高級のホテルで、富裕層が主なターゲットだ。

 そのため、客層は国内資本のシティホテルとバッティングすることは少ないだろう。

 むしろ、高級路線のザ・リッツ・カールトン、フォーシーズンズといった外資系ホテルとの間で競合が起こりそうだ。

 また最近では、スモールラグジュアリーを掲げるホテルが京都市内に次々進出している。こうしたところとも客層がバッティングすると見られる。

● ホテル投資が活発化 1万2000室が「供給過剰」

 「ホテル投資の観点から見れば、間違いなく日本最強の地」とホテル開発関係者が評する京都では今、さまざまな事業者が参入している。

 例えば、すでに三井不動産や森トラストなどの東京の大手デベロッパーがすでにホテル投資に乗り出している。

 さらに、1990年代のバブル崩壊以来、約30年間も塩漬けになっていた京都駅前の土地で、「ドーミーイン」ブランドの共立メンテナンスが2020年予定でホテルを建てるなど、ニーズの高まりを背景に再び投資が始まった場所もある。

 他にも、金融商品としてのホテル売買も活発化している。例えば、東証二部上場の不動産金融のウェルス・マネジメント(東京都港区)は昨年、連結子会社が組成した特別目的会社を通じて、創業約60年の「ホテルりょうぜん」(京都市東山区)を買収した。

 こうしたホテル投資の魅力を裏付けるのが宿泊者数の増加だ。京都市の調査によれば、18年は過去最高の1582万人に上った。そんな中、宿泊費を安く抑えて京都観光を楽しみたいという客層を吸収する宿泊特化型が相次いで建設された。

 しかし、不動産サービス大手CBRE(東京)によれば、京都では2021年に約1万2000室が「供給過剰」になるという予測もある。

 今は宿泊特化型の建設が多いとはいえ、不動産投資という点でラグジュアリーホテルの建設も今後さらに増えてくるだろう。

 帝国ホテルは経営戦略について、「これから検討する」(帝国ホテル広報担当者)という。後発ホテルとして、競合に敗れない戦略をどう立てるのかが注目される。

ダイヤモンド編集部/大根田康介

最終更新:10/21(月) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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