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なぜ人はSNSで正義を振りかざすのか。鴻上尚史氏に聞く

10/21(月) 15:50配信

週刊SPA!

 運転士が乗務中に水を飲めば「仕事中なのに」と言い立て、警察官や消防士が日中にコンビニに寄れば「公務員が!」と憤り、コンビニ店員同士が談笑していたら「職務怠慢だ」と鬼の首をとったように主張する。

 狭量なのか、暇なのか。何にイライラしているのか。その理由はわからないが、些細なことに「正しさ」を主張する人の声が、なんだか最近、喧(かまびす)しい。

「正義を振りかざす人」は何がしたいのか

 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」で、世間の息苦しさを指摘してきた劇作家の鴻上尚史さんも、「クレームの時代と言われるけれど、ここまできたかと思うよね」と語る。

「SPA!の連載でも書いたけれど、苦情・クレームと言っても、真っ当なクレームがあれば、金品の要求が目的の場合もある。そしてもうひとつが、『俺の話を聞け』『俺をないがしろにするな』という思いがクレームになっているケース。このタイプが増えているような気がして、極めて現代的だと思う」

 その背景には「みんながスマホを手にし、SNSを通じて自己主張ができるようになったのが大きいのでは」と鴻上さん。

 SNSをはじめれば、自然と「いいね」やフォロワーの数を意識せざるを得ない。「1000RTなんてされると、そのときの感覚は麻薬に近い」もの。
 しかし、自身のなんでもない日常をつぶやいても、誰も相手はしてくれない。映画やアニメのうんちくを語っても、論破されるだけ。でも、正しさは誰も真正面から否定できない。こうして、正義が振りかざされるというわけだ。

「ツイッターで『今日もストリートライブを行う違法者がいました』って、つぶやいている人がいるんだけど、おそらく『ストリートライブくらい、別にいいじゃないですか』なんてリプライを、手ぐすね引いて待っているんだと思う。どんな反論がきても、『あなたは法律に無視して生きているんですか』と、100%言い返すことができるから。
 絶対的に揺るがないものに乗っかって自己主張をするのって、やっぱり自己肯定感なんだと思う。自分の存在理由や存在価値を確認したいんだろうね」

 何者でもない自分が、何者かであるかのように思わせてくれるのが“正義”のふるまい。かくして、「ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアー(Social justice warrio:社会正義戦士)」が生まれるというわけだ。

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最終更新:10/21(月) 15:50
週刊SPA!

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