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新しい家族の形とは?──作家・甘糟りり子の「家族考」

10/22(火) 10:23配信

GQ JAPAN

著書『産む、産まない、産めない』の執筆にあたり、不妊治療や養子縁組についての取材を続けるうち 「家族ってなんだろう」と考えるようになったという甘糟りり子による寄稿である。

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家族というものを旧来の価値観に沿って「父がいて母がいてその間に生まれた子供がいる形態」とするならば、私の周りには正しい形をした家族はとても少ない。離婚経験者は多いし、再婚やステップファミリーなんてめずらしくはないし、子供のいない夫婦やシングルマザー、シングルファーザーもいる。

仲の良い友人は日本にはまだ数少ない女性の会社経営者だ。毎日忙しく、別れたパートナーの母親(つまり義母)と生活を共にして育児や家事を任せている。パートナーの婚外恋愛で離婚に至ったのだが、自分にとってはいろいろあって別れた相手の母親でも、子供にとっては血のつながったおばあちゃんだからね、とさらりという。彼女一家の夏休み、半日ほど一緒に過ごしたことがある。和気あいあいとして楽しそうだった。子供の父親は不在ではあっても、ありふれた幸せの風景がそこにあった。

別の女性の友人は、離婚をした後のある時期、広いマンションに自分の恋人の男性、自分の子供たち、年下の女性の友人、ゲイの友人、それから離婚した同世代の男性の友人と住んでいた。住人以外にも、私を含めて人の出入りが多い家だった。彼女が忙しい時には誰かがご飯を作り、誰かが子供の面倒を見て、誰かがゴミを出し、その時にいる人が集まってクリスマスケーキを食べたり、誕生日を祝ったり、紅白歌合戦を見たりしていた。

家族とそうでない人が白と黒ではなく、グラデーションを描いているようだった。こうして形態を書き出してみると奇妙な共同生活に思えるかもしれないけれど、リビングに流れていた空気はいたって平穏で平凡なものだ。

友人たちの家族を見ていると、血の繋がりってなんだろうと考えてしまう。それは強い絆になることもあるけれど、必要不可欠なものでもないようだ。私が体験した二つの家族の団欒は、家族に「正しい」などという形容をつけるのがばかばかしいことだと教えてくれる。

先頃、人気漫画が原作の『きのう何食べた?』というテレビ東京の深夜ドラマが話題になった。私はたまたま3話目から見て、すっかりハマった。ゲイの物語だが、声高に差別を訴えているわけではなく、過剰にファッショナブルなわけでもなく、淡々と家族未満の人間関係を描いている。共感するところがたくさんあった。

主人公は弁護士でイケメンのシロさんと美容師ケンジの中年ゲイカップル。シロさんは料理好きの倹約家で、年老いた両親には自分がゲイであることを告げたが、職場ではいまだに隠している。ケンジは仕草も言葉使いももろ「オネエ」で中身は乙女そのもの。自分の家族とはろくに連絡もとっていない。シロさんの社会に対しての建前をしぶしぶ理解はしているものの、時々じれったさも感じている。その摩擦から、二人はぶつかることもある。探り合いながらいたわり合いながら、自分の感情を投げつけ合う様子は男女のそれと何ら変わりはない。まあ、当たり前のことなのだけれども。

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最終更新:10/22(火) 10:23
GQ JAPAN

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