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ブリザード、アップル、グーグル、NBA。中国頼みの米国企業が陥る「非倫理的なジレンマ」

10/22(火) 12:31配信

WIRED.jp

香港を支持する動きが米国企業によって阻止される──そんな出来事が立て続けに起きた。大きな論争を呼んだこれらの出来事の背景となっているのは、市場だけではない中国と米国の結びつきだ。企業はいま、検閲に屈するか競争力を喪失するかという「非倫理的なジレンマ」に陥っている。

関係解消で米国企業が失いうるもの

マーク・カーンは10月9日の朝、12歳の息子と話し合った。ギルドの解散を伝えるためだ。

カーンはブリザード・エンターテイメントのゲーム「World of Warcraft(WoW)」に最初期からかかわってきた。ゲーム開発者である彼は、2004年のゲームローンチ時に初代チームリーダーを務め、8月にサーヴィスを開始した「World of Warcraft Classic」も熱心にプレイしていた。しかし、状況は変わったのだ。

香港デモのスローガンで選手が出場停止に

10月6日、ブリザードのゲーム「ハースストーン」の公式トーナメントに出場した香港出身のBlitzchungこと呉偉聡(ン・ワイチョン)選手が、台湾の公式実況配信で香港デモのスローガンを叫んだ。この発言を受け、アクティビジョン・ブリザードは「公衆の一部またはグループを怒らせる」行為を禁じたルールに違反したとして、このプレイヤーに対してハイレヴェルな競技大会への1年間の出場停止処分を課すとともに、今シーズンに獲得済みの賞金も支払わないと宣言したのだ。[編註:10月12日に出されたブリザード社長の公式声明のなかで、同社は出場停止機関を6カ月にすること、賞金は支払うことを発表した]

台湾で生まれ、香港で暮らしたことのあるカーンにとって、8年近く自分のホームだと思ってきたブリザードはもはや以前のブリザードではなくなってしまった。彼は息子に「WoW」のサブスクリプションを解約することを伝え、家族の伝統に終止符を打ったのだ。

カーンは『WIRED』US版とのDiscordでのインタヴューでこう語った。「香港の人々が自分たちの自由についてどれほど強く心配しているか、そして中国の人権侵害の歴史を息子に説明しました。香港を支持したハースストーンのプレイヤーをブリザードが処罰したことや、その処罰が何を引き起こしたかも」。彼の息子も同じく解約を決めた。

解約したのはこのふたりだけではない。カーンは、ブリザードを公然と非難したなかでは最も有名なゲーム開発者かもしれない。だが「#BoycottBlizzard」というハッシュタグから、ブリザード関連の複数のサブレディットにいたるまで、インターネットではカーンと同じ思いをもつ人々の声が1週間にわたって溢れていた。南カリフォルニアのブリザード本社に勤める従業員らは、「すべての声が重要」「グローバルに考えよ」といった標語を紙で隠した。

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最終更新:10/22(火) 12:31
WIRED.jp

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