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ソニー “爆売れ” NC完全ワイヤレス「WF-1000XM3」自腹購入レビュー。長所たくさん、要改善点も

10/22(火) 6:40配信

PHILE WEB

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」を購入し、使っている。発売当初は品切れが続出したほど人気が高いモデルで、総合的な完成度はとても高いと思う。

だが、ほかの全ての製品がそうであるように、完璧な製品というわけではない。実際に使って感じた長所だけでなく、次期製品で改善してほしいところを含めて紹介していきたい。

【長所】

良いところは、数え切れないほどたくさんある。どんどん列挙していこう。

長所(1)ノイキャンの性能が良い

まず、ソニーが主張しているとおり、ノイキャンの性能が良い。率直に言うと、もっと良く効くノイズキャンセルイヤホン・ヘッドホンは他にもあるとは思うが、完全ワイヤレスでここまで効果を発揮するものは、ほかに知らない。

今後一気に増えそうなノイキャン搭載完全ワイヤレスイヤホンの、ベンチマークとなるであろう性能だ。地下鉄のホーム、また風が多い屋外では風切り音が気になるが、それでも他社モデルに比べ少なく抑えられている。自然な仕上がりだ。

長所(2)ノイキャンや外音取り込み量を自動調整

ふだんはiOSアプリとの組み合わせで使っているが、純正アプリ「Headphones」との合わせ技で機能する「アダプティブサウンドコントロール」も、大抵のシーンで適切に機能する。これは、動きなどを検出し、外音コントロール設定を自動的に切り替えるというものだ。

使っている人の状態を加速度センサーなどの情報から判断。停止している状態、歩いている状態、走っている状態、電車などの乗り物に乗っている状態を判別し、それに合わせた設定に自動で切り替える。

たとえば、使っている人が止まっている状態から歩き出したと判断したら、外音取り込みを始める。さらに走り出すと、周囲の音がより良く聞こえるよう、外音取り込み量をマックスにする、といったことができる。

これらの判定や切り替えは自動的に行えるため、ふだんユーザーは、モードの存在をそれほど意識しなくてもよい。ただしこのモード選択は、当然ながら、たまに誤認識されることもある。

ユーザーにモード切り替えを意識させず、完全自動にしようという心意気は評価したいし、実際に上手く働く場面も多い。ただそれだけに、上手くいかないときは少しガッカリすることもある。

長所(3)「DSEE HX」を完全ワイヤレスとして初搭載

ソニーファンならおなじみの「DSEE HX」。様々な音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする機能だ。

DSEE HXはOFFとAUTOが選べるが、AUTOにすると、確かに圧縮音源特有のガサツなノイズ感が軽減される。だが、これを「ハイレゾ相当」と言われても…と思ってしまうのは、本物のハイレゾ音源を、それなりに高価なイヤホンやヘッドホンで聴いたときの記憶と比べてしまうからだろうか。またAUTOにすると、エネルギー感が少し犠牲になる場合もある。


長所(4)機能「盛り盛り」なのにそれほど大きくない。装着感良好

読んで字のごとくだが、これだけの機能を、よくこの大きさにまとめ込んだな、と感心する。イヤホン単体のバッテリー時間も6時間と十分だし、左右にタッチセンサーも搭載。アプリで機能のカスタマイズもできるし、外音を素早く聴き取れる「クイックアテンション」機能を、タップ&ホールドですぐに呼び出せるのも嬉しい。ちなみにクイックアテンションは、コンビニのレジなどで、すごく便利に使える。

また、遅延が低く抑えられているのも本機の魅力だ。動画を見たり、ゲームなどをプレイする際、遅延は低ければ低いほどよい。iPhoneと最新AirPodsとの組み合わせにはわずかに劣るものの、本機も非常に高いレベルにある。

装着感も、さすがによく研究されており、その成果が採り入れられている。もちろん個人差は大きいはずだが、少なくとも私はすんなりと装着できた。多くの種類・サイズのイヤーピースが付属しているので、どれかはフィットする可能性が高いだろう。これだけ高機能なイヤホンを、装着感を損なわずに、このサイズにまとめ上げているのはさすがの一言だ。

長所(5)音質は「そりゃあ売れるわ」と唸る完成度

音質はどうかというと、これもかなりのハイレベルだ。あえてDSEE HXをオフにし、Amazon Music HDであいみょん「マリーゴールド」を再生すると、イントロのギターのキレが良いことにまず好印象。さらにボーカルも、軽くざらつき乾いた部分と、伸ばしたときの滑らかさが同居する彼女の声質を、とてもよく表現する。完全ワイヤレスでここまでの表現力を備えているのか、と舌を巻くほどだ。とにかく中域の解像感が良く、声に被せたフィルターのかかり方までよくわかる性能は素晴らしい。

次にOfficial髭男dism「Pretender」を再生。こちらはDSEE HXをオンにすると広がり感、臨場感が高まったので、その設定のまま試聴した。まず、イントロのドラムの沈み込みが深く、しかも質感を伴った良質な低音であることに気づく。これが表現できないイヤホンのなんと多いことか。

そして、「♪Good bye 君の運命の人は僕じゃない」から始まるブレイクの部のキレの良さにもハッとさせられる。寂しげな歌詞を清涼感あるボーカルで歌っているところに、この曲の独特な魅力があるが、表現力の高いイヤホンで聴くと、その楽曲の特徴が、より克明に伝わってくる。

ほかの楽曲も聴いてみたが、全体的にボーカルの表現力が高いと感じた。また、ノイキャンON/OFFで音質がほとんど変わらないのもよい。明確な弱点のないバランスの取れたサウンドで、これが完全ワイヤレス、しかもノイキャン搭載モデルとなれば、「そりゃあ売れるわ」と素直に感じる。


■もう少し改善して欲しいところ

さて、良い部分はこれくらいにしておいて、少し改善を望みたい点もいくつか挙げておこう。

まずは音切れだ。音切れの程度は完全ワイヤレスイヤホンの非常に重要な要素で、最近はほとんど音切れしないモデルも増えてきているが、本機にそこまでのレベルを期待するとガッカリするかもしれない。

アプリで「音質優先」と「接続優先」の2モードから選択できるのだが、接続優先なら、かなり音切れは抑えられる。だが音質優先モードとの音質差が大きいため、なるべく音の良いモードで接続したくなるのが人情というもの。そうして音質優先モードで使っていると、オフィスや家で座って使用している時でさえ、時折音が切れることがある。接続性と音質を両立させたいのなら、接続優先モード+DSEE HXオンで聴くと、音切れを抑えつつ、ある程度の音質を確保できるのでオススメだ。

もう一つは、アダプティブサウンドコントロールに関するものだ。先述したとおり、このモード切り替えが遅かったり早すぎたり、なかなかしっくりこないことが時折ある。アプリで多少は調整できるが、それでも期待するモードになかなか切り替わらないことがある。

また、アダプティブサウンドコントロールの自動モード切り替え時に音切れが発生しやすいのも気になる。この際は先に「ポーン」と音が鳴るので、こちらは「あ、一旦音が切れるな」と心の準備ができるので多少はマシだが、もう少しスムーズに切り替わって欲しいものだ。

最後に、これは重箱の隅をつつくようだが、充電ケースがチープな印象なのも気になる。軽さやコストを重視したのだろうが、少し薄っぺらい。またケースが自立せず横置きしかできない、USB-C端子の周りが狭いためコネクタが大きいケーブルを差し込みづらい、指紋が付きやすい、フタの部分に傷が付きやすいなど、細かな不満は多い。


さて、少し辛めのことも述べたが、全体を通して完成度が高いモデルであることは間違いなく、買って後悔することは少ないはずだ。私のカバンには常にAirPods(第2世代機)と本機が入っており、少し前までファーストチョイスがAirPods(なにしろ気軽に着けられるので)、ちゃんと音を聴く時にはWF-1000XM3に着け替えるという感じだったのが、最近は初めからWF-1000XM3を着けることが増え、AirPodsがその出番を失いつつある。そう書けば、本機の優秀さが伝わるだろうか。

編集部:風間雄介

最終更新:10/22(火) 6:40
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