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斜陽の「銭湯」で大胆に集客する44歳の経営手腕

10/22(火) 5:55配信

東洋経済オンライン

これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむが神髄を紡ぐ連載の第70回。

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■地元民にも、イベント好きにも、愛される銭湯

 殿上湯(でんじょうゆ)は東京都北区西ヶ原にある銭湯である。

 築50年以上の老舗の銭湯で、地下135メートルから組み上げた天然水を使用したお湯が自慢だ。

 定休日の金曜日を除いて、毎日16時から23時まで営業しているが、日曜日は朝8時から朝湯を提供している。朝から、銭湯でひとっ風呂あびるなんてとても粋だ。

 そんな昔ながらのしっかりとした銭湯だ。

 ただし銭湯は、家風呂の普及とともにやむなく年々数を減らしている業種だ。

 東京都内の銭湯の数を見てみると、2005年には1025あったが、2018年には544と約半分の数になっている。経済産業省によれば2015年度末の時点でいわゆる銭湯のイメージとなる「一般公衆浴場」は全国に3740施設。実は私営の入浴施設、約2万1400施設のうち、銭湯は5分の1以下。残りはスポーツ施設、ヘルスセンター、レジャー施設、エステティックサロンなどに設置された入浴施設などだ。

 つまり「しっかりとした銭湯」であるだけでは、営業を続けていくのは難しく、基本的には斜陽産業といえる。

 そこで、殿上湯は、新しい試みにも果敢にチャレンジしている。

 銭湯の場をイベントやワークショップのためのスペースとして貸し出している。映画を上映したり、楽器の演奏会を開いたりなどのほか、オリジナルのグッズの販売などにも精力的だ。

 どれも盛況で、地元の人たちにも、イベント好きな人たちにも、愛される銭湯になっている。

 殿上湯の5代目オーナーの原延幸さん(44歳)に、銭湯オーナーを始めるまでの道のりと、始めてからの新しい取り組みについて話を伺った。

 原さんのひいおじいさん、ひいおばあさんは、東京都内で3軒の銭湯を経営していた。

 店舗は阿佐ヶ谷、巣鴨、動坂にあったが、第2次世界大戦の空襲で3軒とも焼けてしまった。その際、ある人の資金提供もあり、なんとか建て直して営業を再開した。しかし、その人の資金繰りが苦しくなったのに加えて、ひいおじいさんが連帯保証人になっていたため、3軒すべてをなくしてしまった。

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最終更新:10/22(火) 5:55
東洋経済オンライン

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