これらの話は、“タイユール オブリーク”に限った話ではない。バリエーション豊富なメンズのテーラードスーツは、いずれもフルキャンバス仕立てで、袖部分のライニングにはサテンストライプのキュプラを配し、ウエストバンドを内側に配するなど、英国サヴィル・ロウ(Savile Row)の伝統に基づきつつ、新解釈のシルエットを職人の手仕事により加えている。また、ディテールも重要だ。ラベルは全て「ディオール」を象徴するグレーに統一され、ラぺル部分には手縫いのボタンホールが配されさりげなく職人技を表している。そして、ハウンドトゥース、プリンスオブウェールスズといった英国調のファブリックが多いのは、ムッシュ自身が好んで度々用いていたことから。キムの“もしムッシュが今、メンズをデザインしたならば......”という視点は、このように一つ一つの選択に反映されているのだ。
最終更新:10/22(火) 22:00
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