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韓国の若き財閥総帥の「危機経営」

10/23(水) 6:00配信

JBpress

 2019年10月21日、韓国の大手流通グループである新世界グループは、傘下の大型スーパー事業、EマートのCEO(最高経営責任者)を交代させる人事を発表した。

 韓国の財閥総帥は最近、相次いで「危機経営」を強調しているが、業績不振企業のトップを電撃的に若返らせる必罰人事が相次いでおり、産業界に緊張感が高まっている。

 新世界グループは、サムスングループから分離した財閥で、韓国ではロッテグループと並ぶ流通、ホテル、外食の大手だ。

■ Eマートトップにコンサルタント

 スーパー事業を手がけるEマートは年間売上高が17兆ウォン(1円=11ウォン)に達し、韓国を代表するディスカウント総合スーパーだ。

 一時は急成長が続いたが、最近になって業績不振に陥り、2019年4~6月期に初めて299億ウォンの営業赤字に陥った。

 韓国内の消費不振に加えて、インターネットを使った電子商取引業者が急成長して、消費トレンドが大きく変わりつつある影響を受けた。

 オーナー会長である鄭溶鎮(チョン・ヨンジン=1968年生)副会長は、こうした状況に対応するため、人心一新を図った。

 Eマートの新しいトップにはコンサルティング会社、ベイン&カンパニーで消費財、流通部門パートナーを務めていた康熙碩(カン・ヒソク=1969年生)氏をスカウトした。

 康熙碩氏はソウル大法学部を卒業していったん官僚の道を進んだが、米ペンシルバニア大学ウォートン校でMBA(経営学修士)を取得後、コンサルタントに転じた。

 鄭溶鎮副会長とは10年前に知り合い、様々なアドバイスをしていたという。

 新世界グループが外部からCEOをスカウトするのは異例だ。また、Eマートと同時に、グループ会社のトップ人事も決めた。

 年末人事が続いていたが、新年からの経営計画を策定する時間を鑑みて早めに交代に踏み切ったという。どちらも異例のことだ。

■ LGディスプレーの電撃トップ交代

 韓国の財閥は、グループ企業のトップ役員人事を年末に実施することはここ数年の慣例だった。1年間の実績がだいたい出る頃を見計らって、役員人事を決める段取りだった。

 ところが、LGグループは新世界グループよりも早く、9月半ばに主力企業であるLGディスプレーのCEOを急遽交代する人事を発表した。

 LGディスプレーは、中国勢との競争激化などで業績が不振に陥ってはいた。それでも、年末まで待たずに、CEOだった副会長を更迭し、6歳若いLG化学の社長(1961年生)を起用したことに産業界では驚きの声が上がった。

 「もうあと2か月待てば役員人事だったのに、わざわざ1社だけCEOを交代させたのは、グループ全体を引き締める狙いもあったのかもしれない」(韓国紙デスク)との声も出ている。

 「年末人事という慣習が一気に崩れるかもしれない」

 産業界ではこんな声も出ている。

■ 「危機経営」の大合唱

 というのも、財閥総帥が最近になってそろって「危機経営」を強調しているからだ。

 SKグループの崔泰源(チェ・テウォン=1960年生)会長は、9月に訪米した際、「会長に就任してから20年になるが、これほどの地政学的な危機は初めてだ」と述べた。

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最終更新:10/23(水) 6:00
JBpress

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