ここから本文です

フラットな組織も崩壊、「ビジネスの定説」過信で起きた4つの失敗 LayerX・福島良典社長

10/23(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 資金調達にサービスの立ち上げ、上場や事業売却と、ポジティブな側面が取り上げられがちなスタートアップだが、その実態は、失敗や苦悩の連続だ。この連載では、起業家の生々しい「失敗」、そしてそれを乗り越えた「実体験」を動画とテキストのインタビューで学んでいく。第5回はGunosy創業者でLayerX代表取締役社長の福島良典氏の「失敗」について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 岩本有平、動画ディレクション/ダイヤモンド編集部 久保田剛史)

 ニュースアプリ「グノシー」を提供するGunosyの創業は2012年のことだ。東京大学大学院に在学中の福島氏とその同級生だった吉田宏司氏、関喜史氏が2011年に趣味として公開したサービスこそがその母体になっている。

 起業後、サービスは順調に成長。2015年には東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たした。創業から2年4カ月というスピードだった。2017年には東証一部市場に市場を変更している。

 その後福島氏は、2018年8月にブロックチェーン領域の事業を手がける子会社のLayerXを設立。同社の代表取締役社長に就任する。

 2019年7月には、そのLayerXをGunosyからMBOして独立。同10月には取締役にユナイテッド元取締役でXTech Ventures共同創業者の手嶋浩己氏らを招聘(しょうへい)して、新体制で事業を展開している。そんな福島氏に、Gunosyの創業秘話と、当時経験した4つの失敗を語ってもおう。

● 創業からの7年間「苦労しかなかった」

 グノシーは、もともとは機械学習の研究室にいた同級生3人で「何か自分たちで作りたい」という話をしていたところからはじまったサービスです。機械学習の分野では、自分たちでプログラムを書いて、自分たちでデータをさわっていないとスキルが上がりません。だからプロダクトも自分たちで作らないといけないと考えていたんです。いざ作ったところで、正直なところ、それがビジネスになるかどうかも分かりませんでした。

 ですがおかげさまでサービスはすぐに伸びてきて、「スマートフォン×ニュース×機械学習」という領域に可能性を感じるようになっていました。それと同時に、趣味として週末にメンテナンスをしている程度では、サービスは終わってしまうとも思いました。サービスって、常に改善していかないと死んでしまうんです。

 長い目で見たとき、インターネット上に記事が増えてきて、「ニュースはパーソナライズされるのが当たり前」となる世界が来ることについては確信がありました。もしそれを僕らがやらなかったら、グーグルやヤフーがやるんじゃないか?それって悔しい、と思ったんです。そうしたことが起業につながりました。

 もう1つきっかけになったのは、当時のスタートアップバブルです。周囲の大学生が続々と起業するタイミングでした。当時僕は22、23歳の頃。一度起業して、失敗したとしても、そのあとは普通に働けると思ったんです。ビジネスにできるかどうかは分からない。でも信じられる未来がある。キャリアとして考えれば、スタートアップをやるのはむしろ人生にとってプラスだろうと考えたんです。

 結果として、僕たちは創業から2年4カ月で上場することができました。世間一般の定義で見れば、僕たちの起業は成功だと思います。ですが、起業家として走っていた僕自身は、めちゃくちゃ失敗をしていたんです。サービスが本当に伸びるのか、マネタイズが本当にできるのかと、不安なことも数多くありました。事業をするお金も集まって、「やるしかない」と覚悟を決めてもがき続けた7年間です。よく「急成長して、苦労はかなかったんですか?」と聞かれるのですが、「苦労しかなかったですよ!」としか言えません(笑)。

 (競合サービスも同じ時期に出てきていたので)競争も意識せざるを得ませんでした。ですから、「絶対的な数字が伸びてる」ということよりも、競合やグローバルにあるサービスと比較して、細かいことや新しいことをしないといけないという危機感を持ち続けていました。もっとユーザーにとって便利なサービスにしなければいけない。でも便利なだけでも使ってもらえない。何よりまず、どうやったら知ってもらえるのか。そんなことをひたすら考えていました。

1/4ページ

最終更新:11/13(水) 17:10
ダイヤモンド・オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事