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上島珈琲とプロントの「完全キャッシュレス店舗」、売上で明暗が分かれたワケ

10/23(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 消費増税を契機に政府が旗を振るキャッシュレス決済。外食チェーンでも現金が使えない「完全キャッシュレス店舗」の導入事例が相次いでいる。ただ、人件費削減などのメリットがある一方で、店舗によって売り上げの明暗は分かれている。完全キャッシュレス店舗を成功に導くポイントは何か。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

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● 現金不要でレジ締め作業なし 人件費は削減できたが…

 「申し訳ございません。当店で現金は扱っておりません」

 店員がこう告げると、女性客は慌てて財布からクレジットカードを取り出した――。

 10月から始まった消費増税を契機に、政府はポイント還元や各種補助金などあの手この手で、キャッシュレス化を推進している。

 この流れに乗るべく、外食産業でも完全キャッシュレス化の店舗が登場した。サントリーグループのプロントコーポレーションが運営するPRONTO二重橋スクエア店と、UCC上島珈琲が運営する上島珈琲店大手町フィナンシャルシティ店だ 。いずれの店舗も、東京駅から徒歩圏内という好立地だ。

 「商品やサービスに加えて、キャッシュレスという決済手段についても店舗を選ぶ基準になってもらえれば」と、プロントの冨田健太郎営業企画部長は導入に至った背景を語る。

 完全キャッシュレス化が店舗にもたらす効果は大きかった。

 PRONTO二重橋スクエア店では閉店後のレジ締めの時間が不要となっただけでなく、人件費の削減にも直結した。同規模の店舗の運営には通常は4人の従業員が必要だったが、3人での運営を実現したという。また、現金を扱わなくなったことで店舗スタッフの心理的な軽減にもつながった。

 反面、完全キャッシュレス化のデメリットも見えてきた。「人件費の削減分は、カード会社等に払う決済手数料で消えてしまった」(冨田部長)。

 日本では現金への信頼性が高いことの裏返しとして、海外と比較してカードの決済手数料が高い。この手数料の高さが、外食産業がキャッシュレス化に乗り気でなかった要因の1つになっている。

 人件費コストの削減という完全キャッシュレス化による効果は2店舗で共通している。 ところが、売り上げに目を向けると明暗が分かれた。

● 完全キャッシュレス化で 上島珈琲店が増収増益になったワケ

 「完全キャッシュレスにしたことで増収増益となった」とにこやかに語るのは、上島珈琲店の橋本吉紀営業本部長だ。鍵となったのが「既存顧客の取り込み」だという。

 上島珈琲店大手町フィナンシャルシティ店では、今年の2月から完全キャッシュレス化へと舵を切った。金融機関が周りにあることや、駅が近く交通系電子マネーが普及しており、もともとキャッシュレス決済比率が5割程度と高かったという。

 そして、完全キャッシュレス化に踏み切る1ヵ月前から、店頭でキャンペーンを行うなどして移行期間を設けた。

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最終更新:10/23(水) 11:45
ダイヤモンド・オンライン

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