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毎年8000社以上が倒産…中小企業が壊れる「3つの原因」とは

10/24(木) 7:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

「エース頼り」の中小企業は少なくない

労働市場の変化は今後も中小企業の向かい風になるだろう。サービス業、接客業、製造業など、人の力が不可欠な業種はとくに影響を受ける。マンパワーに頼らず、果たしてこのまま経営を続けられるだろうか。それ以外の業種も決して安泰ではない。

例えば、営業職などは、経験、スキル、ノウハウ、人脈などが個人に蓄積される。稼ぎ頭の営業マンが辞めたらどうなるか。頭数の少ない中小企業にとって、次の戦力となる人材が育っていなければ経営状態は急激に悪化するだろう。業界を問わず、どんな会社もスキルなどの属人化によって経営が立ち行かなくなるリスクを抱えているのだ。

経営方針や営業戦略の立て方などが仕組み化されておらず、資金と情報の少ない中小企業は、経営そのものが属人化していると言えるだろう。社長は経営だけではなく、営業本部長・経理部長・人事部長を兼任していることが多い。会社が仕組み化されていないため、社長や各部署の責任者に成果が委ねられる。

また、経済産業省のレポートによると、社長が60歳以上の中小企業のうち、3分の1の会社は後継者が決まっていない状態なのだという。仮に黒字経営だったとしても、次を引き継ぐ人がいなければ廃業せざるを得ない。属人化は、目先の話として経営が傾く要因であり、長期的には会社の存続を危機にさらす。何かしらの対策をしない限り、自分、家族、従業員、従業員の家族にとって生活の基盤ともいえる会社を守っていくことはできないのだ。

「会社経営」という本来の仕事を忘れていく社長たち

人手不足や属人化を防ぐ方法がないわけではない。例えば、機械化である。全ての業務を機械化できないにしても、人の業務を減らせば人手不足は解消できる。製造や流通の現場ならIoTの導入で生産性を高められるだろうし、それ以外の細かな業務も、IT活用やAIの導入によって人がやってきた仕事を機械に任せられる。

しかし、問題もある。まず、設備などへの投資は決して安くない。IT関連の投資についても、大手企業では導入率も投資額も右肩上がりに増えているが、中小企業はほぼ横ばいだ。また、投資による効果が中小企業のような少人数では発揮されにくく、投資自体が見合わないことが多い。

そう考えて二の足を踏む経営者は多い。意を決して機械化やIT化に取り組んだ結果、成果が出ずに無駄な投資に終わるケースがある。私の顧問先でもIT化のために2000万円の投資をしたが、3か月後にこのシステム運用責任者が辞めてしまった。以来3年経った今でも、このシステムは眠ったままでいる。

属人化に関しては、一般的には仕事の進め方を標準化したり、顧客の情報などを共有する仕組みを作ることによって防ぐことができる。しかし、これも大手企業向けの対策であって、中小企業の実態にはそぐわない。ギリギリの人数で仕事を回している中で、誰が標準化の作業をするのか。また、人が足りていない業務や、誰かが辞めた後の穴埋めを、会社全員でカバーしているのが中小企業の実態だ。

私が見てきた会社でも、社長自らが現場を駆けずり回っている会社がほとんどであった。その結果、経営戦略を立てる、ビジョンを作るといった経営者の本来の仕事に手が回らなくなる。会社としてどこに向かうかわからなくなり、ただやみくもに営業するだけの会社となり、土台から経営がぐらつくことも少なくないのだ。

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最終更新:10/24(木) 7:00
幻冬舎ゴールドオンライン

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